君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第146章 146
食事を終えた二人は、手を繋いで海岸へ。
「綺麗ー…人がいない海、大好き」
「俺も。みんなでワイワイ楽しむ海も好きだけど」
「夏になったらみんなで来たいね。ナツしよ歌いながら」
ゆっくりと砂浜を歩きながら、を見る。
海風で舞い上がりそうな髪を押さえながら、水平線を眺めるその姿は、まるで絵画のように美しい。
出会ったころと同じように、あどけなく、愛らしく、可愛らしく、純粋で美しいを、こんな苦境に晒されている自分が独り占めしていいものかと思ったりもする。
けれど、そんな自分ですら支え、愛していると心からの真実を伝えてくれるを、絶対に手離したくない、離れられないと、そう思った。
「、ちょっと待っててくれる?すぐ戻るから」
「うん、貝殻拾ってるね」
その可愛い待ち方ずるい…。見てたい…。
龍之介の言葉ににこりと微笑むにそんなことを思いながらも車へと戻っていく龍之介。
そんな彼を見送ってから、はゆっくりとスカートを足に織り込みながらしゃがむ。
人が殆ど踏み入れない季節外れの海岸は、綺麗な貝殻やシーグラスが落ちていた。
「わー、綺麗」
角が削れて丸くなり、曇りガラスのようになったシーグラスを拾い上げ、日に翳す。
「あ、ハートだ。可愛い」
持ち上げて、その形に笑みを浮かべる。
その時、さくり、と砂を踏む音がして振り返れば、目の前に真っ赤な薔薇の花。
驚いていれば、花束が避けられ、その向こうに仄かな緊張感を交えた笑みを浮かべた龍之介が、を真っすぐ見ていた。
「龍くん…?」
「午前、時間貰ったの…この為なんだ」
呟きながら、花束を脇に抱え、後ろ手に隠していたものをの前に差し出す。
金色の模様で縁取られた、赤い小さな箱。
それが何か、は分かってしまった。
「…龍くん」
「に出会って、愛を知った。と過ごして、心からの幸せを知った。大変なことが今起きてて、きっと、またこれからもあると思う。大丈夫って、笑って支えてくれるにこれからたくさん甘えると思う。だけど、俺、それ以上にの事支えて、守って、愛したい。一緒に、ずっと、と生きていきたい」