君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第143章 143
監督の言葉に、台本を持たずに立ち位置確認に入るを、万理は頷きつつ温かく誇らしげな眼差しで見守る。
デビューから半年とちょっと。
は本当に成長した。
まだまだ子供っぽい所はあるが、それでも大人顔負けの部分も沢山見せてくれる。
女優としてのみならず、人としても目覚ましく成長していると感じる。
普段のは勿論、女優・に、自分は心底惚れ込んでいる様だと、万理は自覚している。
「そうですね。これからも頑張って欲しいです」
そんな万理の言葉を受け取ったかのように、がセットの上からこちらを見て、にこりと微笑む。
そんなに頷きを返せば、思い出したかのように監督が口を開くいた。
「そういえば、十くんのスキャンダル、ちゃんに影響出てる?」
「記者に追いかけられてちょっと困惑はしてるみたいです。TRIGGER狂い女優は名ばかりじゃなくて事実なので、今のTRIGGERに関する報道はしんどいって言って、自ら見ない様にしてるみたいですね。でも、監督が仰るように、あの子は根っからの女優なので、仕事には影響ありません。その辺りは安心してください」
万理の言葉に、それは良かった。と監督は安心したように頷く。
「…今、から千と百って聞こえたな。Re:valeとも関係あんのか?あいつ」
「歌手デビューもしていますからね。そもそもTRIGGERに溺愛されてるんですから、Re:valeともそれなりの付き合いはあるでしょう」
先程の万理との会話が少しばかり聞こえたらしい虎於と巳波。
「現代の千葉サロン幹部の情婦か?」
「どうしてそんな卑猥な想像しかできないんです?十さんと、お付き合いしてるんでしょう?彼女。…了さんに伝えますか?」
巳波の問いに、虎於は一度考え、いや、と首を振る。
「俺の婚約者に変なレッテルつけられても困るからな」
「婚約者…は貴方の妄想ですけどね」
そんな会話が繰り広げられているとは露知らず、はセットの上で主演女優と楽しそうにカメラリハに挑むのであった。