君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第15章 15
「とにかく明日!二人ともよろしくね!十くんにはさん抱き上げてもらわないといけないから、ストレッチ入念に!」
「はい、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
再度監督に一礼し、二人は部屋を辞する。
「行こうか」
「はい。十さん、私の事抱き上げれます?」
「一応鍛えてはいるつもりだけど……ね、今一回練習していい?」
龍之介の申し出に少しばかり照れてしまうも、突然本番を迎えるよりかは安心かと納得し、は頷く。
「明日スムーズにできた方がいいもんね」
「確かに」
「ちゃん、俺の首に腕回して、いくよ?そーれ」
ふわりと、一瞬の衝撃もなくの体は龍之介の腕によって持ち上がる。
「ちゃん軽すぎない?」
「う、実は台本に熱中するあまりご飯食べ忘れることあって…」
「もう…ちゃんと食べないと」
「すみません」
苦笑しながら龍之介を見上げれば、思った以上に顔が近かった。
「…つな…龍之介さん」
「…ん?」
の呼び方が変わったことに、龍之介の瞳の奥に柔らかな炎が宿った気がした。
「明日、この体制のままキスするんですよね」
「うん…教会から出るんだって。見てる人いっぱいいるよね」
「…どうしよう、恥ずかしいかもしれない」
「じゃあ、恥ずかしくなくなるように、今いっぱいしよう?」
いつの間にか龍之介の足はの部屋を通り過ぎ、自らの部屋の前に着いていた。
器用にカードキーを開け、扉を開けば素早く部屋に入る。
扉を閉め、を下ろせば、扉に両手をつきを見る。
「…怖い?」
「…いえ…龍之介さんは私の嫌なことしないもん」
もん、とか、可愛い……。
そんな事を思いながら、龍之介はの頬を撫で、口付ける。
「照れてるも可愛い……」
「ん…」
「明日、頑張ろうね」
「最後であり、始まり……ですね」
「…うん、そうだね」
身を屈め、龍之介はを見て口付ける。
「…」
「ん、もう行かないと」
「…うん、そうだね。今日はお休み」
「おやすみなさい、龍之介さん」
そう答えるに嬉しそうに微笑み、そっと扉を開いて辺りを見回してから自室へと戻っていくを見送るのであった。