君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第133章 133
最後の撮影となるショーの紹介と、エンディングの撮影。
「ここのテラスがパーク内で知る人ぞ知る夜のショーの観覧スポットなんだって」
「……すでに人がいっぱいなのは私たちのせいですか?」
「うん。皆ついてきちゃったね!」
ぐっと親指を立てられ、ですよねー!と頷く。
「とはいえ、撮影の時は秘密スポット感出したいから人払いするつもりだけど」
「はい」
「流れとしては、先にさんがショーを見てて、十くんが後ろから抱き締める。顔を見合わせてから二人でショーに視線を向ける。そこから花火までは自由に話してもらって、花火が上がったら二人で見上げて。二三言話してもらってキスシーン。フリでもいいけど、そこは任せるね」
「わかりました」
二人で頷き、一旦動きの確認のためが一人ショーを見る位置につく。
「後ろ姿ですら可愛い…」
「あのちょこんとしてるのがね。何あの小動物感…」
軽く背伸びしているのがまた愛らしい。
一度うんうんと頷き、龍之介はそっとに近づいて後ろからふわりと抱き締める。
「こんな感じ?」
「…もっとぎゅーして」
問いかける龍之介に、スタッフに届かぬよう小声で強請る。
はいもうだめ。可愛い。大好き。
思わず破顔し、ぎゅう、と抱き締め、の肩に口元を埋める。
今はリハーサルの為まだ周りに一般客がいるが、トップアイドルと新人女優のハグに騒然である。
「可愛い…愛してる」
「私も愛してる」
周りのざわつきを盾に愛を紡ぎ、二人は視線を合わせ微笑み合う。
と、ここでプロデューサーがカットを掛けた。
「ショーが霞む…」
「え?」
「二人のラブストーリーの方が魅力的になっちゃうんだよなぁ」
プロデューサーの言葉に、二人は顔を見合わせる。
夢を見せることに全力を注いでいるパーク関係者の前では絶対に言えない言葉ではないのかそれは。
現に、ずっと撮影に同行してくれているパークの広報担当は苦笑である。
「どうしましょう?」
「ショーは並んでみてもらう事にしようかな。二人にはショーの後にエンディングって形で今の流れと動きをお願いしていい?」
「はい、わかりました」
頷き時計を確認すれば、まもなくショーの開始時間である。