君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第128章 128
「おはようございまーうぉ?!が、楽…?」
ほぼ一番乗りに近い時間で控室へやってきた。
扉を開けた瞬間、目の前に座り込む楽の姿に驚いた。
切腹でもするんですか?とでもいうように、足を広げた正座でを見ていた。
「!!」
「声でっか…」
「俺を殴れ!!」
「………出来るかぁ!!自分が国宝級の顔面してるってわかってらっしゃいます?!」
楽の声に対抗するように大声で返し、ぜぇはぁと肩で呼吸を整える。
「昨日のことなら気にしなくていいし、私も気にしない。だから、いつも通りしてくれたらそれで十分だよ」
「それじゃあ俺の気が済まねぇ!」
「んー…じゃあ…」
仕方ないとばかりには楽に近づき、床に座り込む楽の前にしゃがみ込み、デコピンをかました。
「い゛っ」
「はい、これで清算!」
「こんなんで良いのか…?」
「あとは、今日の撮影で昨日のこと気にせずちゃんと演技してくれればそれで充分。ね?」
にこりと微笑むにサンキュ、と頷き、楽はやっと立ち上がる。
「ただ、一言だけ謝らせてくれ。本当に、悪かった」
「うん、ありがとう。受け取ります」
こくりと頷くに小さく微笑み、そういえば、と問いかける。
「龍、怒んなかったのか?」
「うん。怒ってなかったけど…」
「けど?」
「…秘密」
そんなの言葉に、楽は軽く首を傾げつつ、何か思い当たったのか苦笑する。
「聞かねぇ」
「ありがと。さ、準備しよ」
「おう」
出ていく楽を見送り、ドレッサーの前に座る。
「腰痛ーい…車でするもんじゃないな…龍くんは大丈夫だったかな…」
昨晩の余韻を残す腰の痛みに苦笑しながら、は再度立ち上がり軽く腰を、回して伸ばしてストレッチ。
「お、早いねちゃん」
「三田さん、おはようございます!」
「腰、どうしたの?」
「昨日突然部屋の模様替えしたくなって…家具移動したらちょっと」
「あらら…腰は大事よー」
くすくす笑いながら、の衣装を取り出しハンガーを掛ける。
「明日は十さんと町ロケだっけ?」
「そうなんですよ~。まぁ、町というよりテーマパークですけどね」
「そうだったね、うさみみランド」
「初めて行くからすごーく楽しみです」