君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第14章 14
最終日の撮影日前日。
たちは遠方へと地方ロケへやってきていた。
「明治時代に作られた教会で撮りたいって監督が言って聞かなくて」
現地につき、ロケバスに乗り込むなり、すみませんとスタッフに謝られ、は苦笑しながら首を振る。
歴史をテーマにしたテーマパークの中にある教会の為、リハは閉園後に行い、明日は営業時間内の限られた時間を貸し切って撮影を行う。
割と撮影時間がタイトになっているため、万全の状態で挑まねばならない。
「私は今このお仕事しかないので全く構いませんけど…十さん大変ですよね、TRIGGERの方のお仕事もあるのに…」
「うん、でも俺の出番は昨日のうちに終わらせてあるし、明日明後日はTRIGGERもオフだから」
最終話だから特に気合い入れたいしね。
と微笑む龍之介に、も確かにと頷く。
最終話の最終シーン。
ずばり、結婚式のシーンである。
「結婚式かぁ…デビュー作で結婚までしちゃうの凄い」
「あはは、確かに」
くすくす笑いながら龍之介は隣に座るを見る。
「ちゃんのドレス、今までの洋装も似合ってたもんね。ウェディングドレスもきっと似合うだろうなぁ…」
「十さんの隣に並べば、いつもの三割り増しくらいで綺麗になれるかもしれません」
にこりと微笑むのその真意を読み取れるものは少ないが、龍之介はきっと綺麗だよ、と頷きの手をそっと取る。
幸い、スタッフは離れて座っているので、その姿は見られない。
「ちゃん」
「はい」
「…明日、最後だね」
「はい…」
「明日帰ったら、次の日もオフって言ったよね?どこかで、時間取れない?」
龍之介の言葉に、は顔を上げ彼を見上げる。
そして、小さく頷いた。