君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第119章 119
「十くんにはベッタベタに甘えてるのに」
「う…それは…そうなんですけど…」
「その半分でもいいから、環くんに甘えると良いよ」
「ふふ、はい。環にーちゃんにしっかり甘えてみます」
の言葉によろしい、と頷き、事務所への到着を伝え車を降りる。
も車を降りれば、ぐい、と軽く伸びをして万理と肩を並べて事務所へと向かった。
「今日はこれで仕事終わりだけど」
「はい。打合せのあと寮に寄って、皆で晩ご飯食べてからマンション帰ります」
「マンションまでどうやって帰るの?送って行こうか?」
万理の言葉に、待たせるなんてとんでもない、とは首を横に振る。
「いえ!えーと、迎えが来るので…はい、仕事上がりに…来るって言い張ってたので、九時くらいに迎えに来ると思います」
「…過保護だねぇ…いや、気持ちは解るけど」
「ですよねぇ。というわけで、恋人兼過保護が迎えに来るので、万理さんはゆっくりしてください」
「了解。じゃあ、残りの打ち合わせ頑張ろっか」
「はい!」
そんな言葉を交わしつつ、二人は事務所へ入り会議室へ。
「お、。おつかれー」
「お疲れ様です、大和さん」
「今日寮寄ってくんだろ?タマがめっちゃそわそわしてた」
「あはは、環可愛い」
くすくす笑いながら席につき、資料を捲る。
「寮からの帰りは大丈夫なのか?」
「はい、龍くん迎えに来るんで」
「相変わらず過保護だなぁ…十さん。つーか、はすっかり十さんのマンションが『自宅』なんだな」
「へ?」
「寮が『実家』でマンションが『自宅』って感じ」
大和の言葉に軽く首を傾げれば、確かにそうかも、と頷く。
「そうですね。感覚的にはそうなってきてるかもしれないです。だから、寮帰るとなーんかほっとします」
「お前さんの故郷になれて俺たちは嬉しいよ」
「じゃあ、大和さんは一番上のお兄ちゃんですね」
「お父さんて言われなくてよかったわ」
そんな事を話していれば、話を聞いていた万理がくすくす笑いながら打ち合わせの開始を伝える。
「お兄ちゃん、ねぇ…」
そんな大和の小さな呟きは誰にも聞こえることは無く、和気藹々とした打ち合わせが始まったのであった。