君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第114章 114
福岡、名古屋、仙台とライブを順調に終え、TRIGGERにとってツアー最後のライブ、東京公演の日がやって来た。
「だぁから!あんたはまた一般列並んで!まさかと思ってきてみれば!全く!!」
「だって…だって!」
「だってじゃないの!席は一般でも列は関係者向け行きなさいって言ってるでしょ!」
「うえーんっ!みんなー!またねー!!」
毎度のことながら姉鷺に見つかり、首根っこを掴まれて連れ去られる。
度重なる交流でファンの中にも友達が出来たは、泣きながら彼女たちに手を振りつつ引きずられていった。
「全く。グッズは?」
「今回は事前通販でゲットしました!」
「ならよし。…龍、結局全公演の限定グッズ買ったのね…」
地方グッズをこれ見よがしに持ち歩くのはあまりよろしくないと思ったのが、ラバーバンドだけ腕につけていたのを姉鷺は目ざとく見つける。
嬉しそうに笑いながら腕を上げ、ラバーバンドを見せつけるようにフリフリと腕を振る。
「姉鷺さんも協力してくださったんですよね!ありがとうございました!」
「いいのよ。あんたのお陰なのか、龍のパフォーマンス力も上がってるし」
なでこなでこと頭を撫でられ、は姉鷺を見上げ嬉しそうに微笑む。
あーもう、可愛いんだから。
そんなことを思いながら姉鷺は小さく笑い、最後にぽふりと軽く頭をたたいてから楽屋へと戻って行く。
「…待機列、戻るんじゃないわよ…?」
「っはい!!」
振り向き、低めの声で忠告すれば、ビシッと背筋を伸ばし敬礼しながらは頷く。
その様子に満足げに頷き楽屋へと戻れば、龍之介がこちらを見た。
「、居ました?」
「一般待機列でファンの子たちとうきうきわくわくきゃっきゃしてたわよ。関係者列に連れてったけど…」
「そうですか。一般待機列でワクワクさせてあげたいけど…」
「あの子の人気も今すごいから…TRIGGERのファンだけじゃなくてちゃんのファンまで来ちゃうと大混乱になっちゃうものね」
のため、ひいてはファンの為にも、致し方ない対応である。
「小鳥遊事務所からは、危ないファンの情報は出てないの?」
「そうですね、今のところ…芸能界内部の方が少し怪しい部分があるかもしれません」
「そうなの?」