君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第113章 113
「これもに似合いそうでいいなぁ」
約500万円。
「こちらはトップの石の他に、ハーフエタニティと言ってリングの部分にも石を施しておりまして…」
約800万円。
「は指が細いから石が大きいと存在感が凄いね」
約1000万円。
「ストップ!龍くん、落ち着いて!いったん落ち着こう?」
「ん?うん」
「山下さん、ちょっと二人でお話させていただけませんか?」
「勿論でございます。それでは私は少々失礼いたします」
スタッフを見送り、は龍之介に向き直る。
「どうしたの?」
「…えーと、一言いうね。たっかい!どれもこれも高い!」
「まぁ、確かに。でも一生ものだし…」
「そうなんだけどもっ。私は石は大きくなくていいし、リングに小さな石も沢山なくていい。正直、龍くんから貰えるなら百均の指輪でも最高に嬉しい」
「うん」
「婚約指輪も結婚指輪も憧れだし、あったら嬉しいけど、私はお金は龍くんとのこれからの生活の為に大切にしたい」
のその言葉に、龍之介は一瞬目を見開き、嬉しそうな顔をしてから何度かこくりと頷く。
が、いつ自分が一人になっても生きていけるように蓄えをしていることを知っていた。
それは立派だと思いながらも、来てほしくない未来をが想定していることが寂しいと思う事もあった。
そんなが、自分との生活の為、将来の為、そう言ってくれたことが純粋に嬉しかったのだ。
「分った。婚約指輪と結婚指輪、それぞれ予算を決めよう」
「賛成!」
「一般的に、婚約指輪の方が高いんだよね。そうだなぁ、婚約指輪200万、結婚指輪を二人で80万以内くらいで考えよう」
んんんんん、芸能人の金銭感覚ぅぅぅ!!
と思いはしたが、それはそれ。一般の人だって稼いでる人はそれくらい出す。人によってはもっと出す。筈だ。とは自らに言い聞かせる。
「わかった。なら結婚指輪は私が出したい」
「え、俺が両方……」
「婚約指輪のお返しで、結婚指輪を贈りたいの」
ダメ?
と上目に見上げられたら、龍之介に首を横に振る選択肢はなくなる。
このおねだり顔には弱い。弱すぎる。もう弱点と言ってもいい。