君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第112章 112
TRIGGERの福岡ライブを間近に控えたとある日。
奇跡的にオフが重なったと龍之介は、しっかりと変装を施し街中へ繰り出していた。
コインパーキングに車を停め、手を繋いで街をぶらぶらと歩く。
「、今日いつもとちょっと服違うね」
「うん。お忍びデートしたいなーって言ってたら三田さんがくれたの」
いつもはふわふわとしたゆったり目の服が多いが、今日は短めのスカートにジャケットという少々大人っぽいものを着こなしていた。
普段のもとんでもなく可愛いが、これはこれでとても良い。
「可愛いよ」
「えへへ、ありがとう。それで龍くん、今日はどこ行くの?」
「もうすぐ着くよ」
「?」
龍之介の先導でたどり着いたのは、一軒のジュエリー店。
そこは、でも知っている敷居高めの超有名店であった。
「……?」
「婚約指輪。の指に今あるのは仮のでしょ?」
「……今まですっごい気さくにつけてたけど…ここのだったの?!なんで?!箱普通のだったじゃん!」
そうなのだ。
プレ婚約指輪だから、と言われあまり気にしていなかったが、最初に指輪を贈られた時、箱はシンプルな白い箱だった。
だからこそあまり気兼ねなく着けていたのだが、まさかこんな高級店のものだったとは、とは驚愕である。
「ブランド名隠した方がサプライズになるかなって」
「もんのすごいサプライズだよ…高校生にこれは敷居高すぎませんか?!!」
「俺も、最初は入るの凄く緊張したけど…。でも、は俺にとって最高の女性だから、最高のものを付けて欲しいって思ったんだ」
の手を取り、そっと手の甲を撫でる。
その言葉と仕草に、は真っ赤になり龍之介を見上げる。
「……むん。でも龍くん仕送りだってしてるのに」
「それでも頑張って稼いでるつもりだよ。の為なら何の負担にもならない。むしろ誇らしいとさえ思うよ。俺にこんなに愛せる人がいて、その人がなことが」
「龍くん…ありがとう。指輪に見合う、すてきな奥さんになる。すごく、嬉しい」
「良かった。じゃあ、行こう?」
予約してあるから。
その言葉に、ならば店の人を待たすわけにはいかないと律儀な思考を持つは腹を括る。