君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第110章 110
数十分ほど万理と会話し、電話を切ればはそのまま机に突っ伏す。
「嘘つき…ゆっくりスケジュールにするって言ったのに…嘘つきぃぃぃ!」
そのままうねうねうだうだと体をくねらせれば、小さく息をつく。
「頑張るしかないね。貯金貯金!」
ぐっと拳を握り、ひとまず先にお風呂に入ろうと立ち上がれば、またもスマホが鳴る。
「もしもし、龍くん」
『…さっきまで電話してた?』
「え?あ、うん。万理さんとこれからのスケジュール話し合ってた…電話くれてたんだね、ごめんね」
『ううん、大丈夫。その間に寝る準備したんだ。もお疲れ様。あ、じゃあお風呂とかまだ?』
「うん、でも後お風呂入って寝るだけだから、大丈夫だよ?明日休みだし」
とはいえ学校はあるのだが、仕事の時よりは時間に余裕がある。
「まず、最初の大阪公演終わったね。お疲れ様」
『ありがとう。俺さ、は来てないってわかってるのに、客席にがいないか、無意識にずっと探してた』
「ふふ、行っても龍くんから見える位置にいるとは限らないのにぃ…でも、気持ちは分かるなぁ…私は家だけど」
『家?』
「ただいまって言ったら、おかえりって聞こえるの期待しちゃった」
いるわけがないと、分かっていながら探してしまう。
いることを期待してしまう。
だから、余計に寂しくなってしまうのかもしれない。
「期待しなかったら、楽なんだけど…」
『俺は、ちゃんとの期待に応えられる男でいたいな』
「龍くん…ありがとう」
『どうしても叶えられないことはあるけど…。が俺に願う事は、出来るだけたくさん叶えたい』
「うん。私も、龍くんの期待と願いにたくさん応えたい」
だよね、と微笑み合い、はお茶を入れようとキッチンへ向かう。
『明日、学校なんだよね』
「うん。帰りは…買い物して四時くらいかな」
『そっか…あ、じゃあ学校終わるのは三時くらい?』
「くらいだね。晩ご飯何食べたい?」
『うーん…』
「私…は、先にご飯食べてお風呂入ってからね?」
『俺、それまで我慢できるかな?』
不安げに呟く龍之介に思わずくすくす笑い、は口を開く。