君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第12章 12
撮影のための準備を終えた二人は、先ほどの会議よりはリラックスした様子で待機をしていた。
「十さん、ここなんですけど」
「うん、どうしよう、俺のタイミングでもいい?」
「はい、大丈夫です」
間合いやセリフのタイミングなどは監督とプロデューサーと共に、主に二人で話し合って決めている。
今回も同じように話していれば、監督たちはうんうん、と頷いてくれた。
「じゃあ、リハーサル行こうか!」
「はい」
龍之介が頷き、を見る。
「大丈夫?」
「大丈夫です。十さんが一緒ですから」
にこりと微笑むに手を差し出し、龍之介は微笑みを返す。
がその手を取れば、セットの中へエスコートである。
「まさに徹と雅」
「絵になる二人だよねぇ」
「リハーサル始めます!!」
二人が立ち位置に着き、カチンコが鳴らされる。
カメラテストも兼ねているためにカメラも回っている。
[雅…]
[何も仰らないで、徹さん。私はどんなことがあっても、あなたを愛していますもの]
[…俺だって、君を愛してる。雅、改めて伝えるよ。俺の妻となり、これからもずっと傍に居てほしい]
[徹さん…はい!私をお傍に置いて下さいませ、貴方の傍で、笑っていたいです]
跪き、雅の手を取りプロポーズをする徹。
嬉しそうに目に涙を溜め、雅は何度も頷く。
泣く演技も、は難なくこなし、周りを驚かせたのは初めのころの話である。
そんな雅を立ち上がって抱き締める徹は、そっと雅の顎を掬った。
[雅、愛してる]
[私も、貴方をお慕いしています、徹さん]
雅の言葉に誘われるように口付ける。
ほんの数秒の口付けの後、二人で微笑みあい、今度はそれよりも長く口付けあった。
「カーット!良い!!最高!」
「本番みたいでしたよ!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!良かったぁ…」
カットがかかり、二人の唇が離れれば、寄り添い合ったそのまま、は安心したように微笑む。