君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第107章 107
「大神さん…はい、あぁ、知ってます。ええ」
大阪、ライブ会場の楽屋。
リハーサルを終え、万理からの着信が入っていたことに気付いた龍之介は、に何かあったのかと慌てて掛け直していた。
『は気にしてないみたいだけど、どうにも気になって…』
「の実家も関係しているみたいで…。自身はまったく気にしてはいないみたいなんですけど」
『十くんが事情を知ってるならよかった。十くんが留守の間は俺がしっかり見守っておくから』
「よろしくお願いします。…大神さん、今います?」
『うん、ちょっと待ってね。…』
電話の内容が虎於のこととわかり、胸の奥が僅かにモヤッとする。
だが、次の瞬間、その燻ぶっていた嫉妬は即座に吹き飛んだ。
『龍くん!』
「…お疲れ様」
『龍くんもお疲れ様!リハーサルどうだった?』
「うん、順調だよ。今からご飯食べてホテル戻って、明日までゆっくりしようねってみんなで話してたところ」
『そうなんだ。そんなときにごめんね、こんな話…』
そう呟くの後ろから面目ない、と万理の声が聞こえ、思わず苦笑してしまう。
「ううん、大丈夫。のことなんだからちゃんと知っておきたいよ。は?もう仕事終わり?」
『うん。大阪のライブはいけないから、ご飯食べながら前回のライブ家で見よっかな』
姿見たら、もっと寂しくなっちゃうかな?
そんなの言葉に、先程モヤモヤとしていた胸が今度はキュン、と締め付けられる。
「可愛すぎ…」
『そんなことないもん。あ、そろそろ着替えなきゃだって』
「うん、また夜電話していい?」
『嬉しいけど、リハーサルの後で明日本番だし、出来たらしっかり休んでほしいな…』
「と話すのが俺の癒しになるよ?」
『じゃあ、するっ!嬉しいっ』
電話越しでも、満面の笑みであろうことが分かる声。
のこういう所が、本当に大好きだ。