君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第101章 101
『ところで』
「なぁに、天」
『その左薬指の指輪、なに?』
「これ?……へへ、えへへ、えへへへへ」
天の指摘に薬指を見、それを掲げ、そして盛大にでれでれの笑顔を浮かべるに、天と楽はすべてを察した。
『嘘だろ…』
『ちょっと龍、の事独り占めするの早すぎない?』
「独り占め…はまだしないよ。でも、この先の隣は誰にも譲りたくないし、譲れないんだ。その決意表明」
勿論、二人にも。
言外にそんな言葉が聞こえた気がして、楽と天は画面越しに苦笑し合いながらも二人のプレ婚約を祝う。
『龍に任せりゃ、は安心だけどな』
『まぁね。僕が唯一を任せていいって言える男は龍位だもんね』
「そう言ってもらえてうれしいよ」
『』
「ん?」
天に呼ばれ、は画面をのぞき込む。
『龍なら心配ないと思うけど、何かあったらすぐ言うんだよ』
「ふふ、ありがとう、天」
『ずりぃ…!俺にもちゃんと言えよ!』
「はーい、ちゃんと相談するよ、楽にーちゃん」
くすくす笑いながら頷くに、楽は口元を片手で覆い、やっべぇ、とひとり呟く。
『…にーちゃん、良いな』
「楽。は俺の」
『兄貴ポジションくらい譲れよ!』
のことになると、心が狭くなってしまう龍之介である。
『ま、何はともあれ、二人ともおめでとう』
「ありがとう、天。休みの日にごめんね」
『休みの日にお前の顔見れたんだから良いって。な、天』
『そうだね』
「二人ともには甘いね」
『『龍に言われたくない(言われたくねぇ)』』
そんな二人のツッコミに、思わず苦笑してしまう龍之介。
確かにそうだ。
「お土産買ってくから、帰ったらまた会おうね」
『楽しみにしてる』
『帰ったら連絡しろよ』
「はーい!じゃあ、またね」
にこりと微笑み、手を振りながら通話終了ボタンを押す。
「婚約指輪と一緒に、イヤリングも買おうね」
「そこまで甘やかさなくていいの。でもありがとう、愛してる」
「俺も愛してる」
口付け合い、額を合わせて微笑む。
幸せそうな笑みの元で、の指元がきらりと光るのであった。