君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第99章 99
時間はまだある。
今は旅の疲れを癒すためにゆっくり風呂に浸かろう。
「ふぃ~きーもちーぃ」
ぐぃー、と腕を伸ばし湯船に浸かる。
身体を洗っていた龍之介はそんなを見て微笑む。
「」
「ん?」
「俺も入って良い?」
「私がダメって言うと思う?」
幸せそうに微笑むに笑みを返し、体を流した龍之介は湯船に浸かりを抱き寄せる。
「ん…んっ…」
「はぁ…可愛い」
「龍くんは、手放しで私のこと褒めるね」
「自慢のだからね」
「ふふふ、ふふ、愛してるっ」
「俺も愛してる」
照れ臭そうにウリウリと頬に手を当てながら、次の瞬間には抱き着いている。
「今から愛してもいい?」
「ん?ダーメ」
「ダメ?」
「お布団が良い。龍くんにぎゅーっていっぱいしてもらえるから」
そんな可愛い事言われたら我慢するしかなくない?
片手で顔を覆い、龍之介はを抱きしめ頷く。
「じゃあ、お風呂出て隣のラウンジでアイスでも食べよっか」
「わーい!」
嬉しそうに微笑むの頭を撫で、二人でふろを上がる。
浴衣を着つけ合い、鍵を持って隣のラウンジへ。
「……?」
ラウンジへ入った途端、の名を呼ぶ男の声。
何事だと龍之介とが視線を向けた瞬間、相手の男の表情がにやりとしたものに変わったのが見て取れた。
「へぇ?俺という婚約者がいながらTRIGGERと付き合ってんのか」
「御堂さん…婚約者じゃございませんけど。ふざけないで」
心底嫌そうに呟くの頭をそっと撫でながら、その名前に龍之介は聞き覚えがあった。
「、もしかして」
「そう」
「そっか。十龍之介です」
「知ってるよ。まさかとくっついてるとは思わなかったけどな。御堂虎於だ。偽王子様」
「ちょっと、彼に何かしたり言ったら絶対に許さないから」
握手を交わしながらそんな言葉を交わせば、が間に入り龍之介の腕に抱き着きながら虎於を睨み付ける。
そんな二人の間に、何やら火花が散ったのを、龍之介は感じ取った。