君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第98章 98
「一枚の色紙に書いちゃったけど、良いよね」
「うん。いつか、あの二人やっぱりってなるといいね」
くすくす笑いながらコーヒーを味わい、食べ歩き再開である。
「串焼き…おいひい…」
「は本当に美味しそうに食べるね」
「龍くんと居るから何倍も美味しいんだもん」
「…可愛すぎ」
その後もしっかりと温泉饅頭を堪能し、ソフトクリーム。
「外で食べるソフトクリームって何でこんなにおいしいんだろうね」
「不思議だね。、付いてる」
「ん…龍く…ちょ…」
口の端に着いたアイスを親指で拭い、そのままの頬に口付ける。
「もー…ここお外っ」
「ほっぺにもついてたよ?」
「へ?う、うそだ!」
「ホント。ここにもついてるから、取って良い?」
そう言って唇を撫でるその指に、は龍之介をじっと見上げる。
「とって」
「仰せのままにお姫様」
そっと顎を掬われ、口付けられる。
そこでは理解した。
キスするために、物陰に引き込んだな?と。
「…ん、アイス溶けちゃうぅ」
「ん、食べよっか」
何やら一口ずつ交代で食べるというルールが出来たらしい 。
何回目かの交代で、が龍之介に向かって背伸びした。
「ん…。…?」
「ついてた。ふふ、まだ付いてる」
くすくす笑いながら二度口付けてくるの背に腕を回し、抱き締めるように口付ける。
「ん、取れた?」
「残念ながら取れちゃった。はい、最後の一口」
あーん、と最後の一口分を差し出されればパクリと一口食べ終え、の頭を撫でる。
「ご馳走様でした!」
「そろそろ宿向かおうか」
「はーい」
頷くの手を取り、メインストリートの方へと出れば先程より増えた観光客。
「…十龍之介?!」
「え?!ほんとだ!!」
「わ、、行こ!」
「ん、逃げろー!」
速攻で龍之介が見つかり、自分でなくの帽子を咄嗟に深く被せる。
そのままの手を取り二人で走り出した。
「ふふ…なんか、逃避行みたいで楽しいっ」
走っている間に楽しくなってきたのかが笑いだす。
のその笑顔は何物にも代えがたい。
そんなことを思いながら二人は車に走り付き、本日の宿へと向かうのであった。