君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第97章 97
龍之介の言葉には彼を見上げ、そして嬉しそうに笑う。
二人で眼鏡をかけ車から降りれば、龍之介に手を取られ指を絡めて繋ぐ。
「デートみたい」
「お泊りデートだよ」
くすくす笑いながら辺りを見回せば、そこまで注目はされていなさそうである。
「なーに飲もっかなー。水…お茶…」
「あ、ジャスミン茶あるよ」
「さんぴん茶?」
「そう。さんぴん茶」
厳密には全く同じものでは無いらしいのだが、龍之介は粗方合っていればの言う事を否定しない。
そんな龍之介ににこりと微笑みながら自販機の前で悩んでいれば、隣の自販機の前に立った観光客がふとこちらに視線を向け、そして目を見開いた。
「TRIGGERの十龍之介…と…」
そんな言葉に気付きそちらを見れば、と龍之介は揃って口の前に人差し指を立て、微笑みかけながら「シー」と頷く。
観光客はの笑みに惚けてからハッとしてこくこくと頷き、そのまま二人が飲み物を買って車に戻るまで静かに見送ってくれた。
「ここから、一時間くらい?」
「だね。眠くない?」
「うん、楽しみ過ぎて眠くならないっ!」
「でも夜もあまり寝てないでしょ?」
龍之介の言葉に何故バレた?とは龍之介を見上げる。
「龍くんも寝れてない?私のせい?」
「ううん、俺はちゃんと寝れたけど」
「ほんと?」
「うん。ただ、が珍しくもぞもぞしてたなーと思って」
バレバレである。
「ワクワクしすぎて寝れないとか…子供か」
「それだけ楽しみにしててくれて俺は嬉しいよ」
そう言って笑う龍之介の方へ少しばかり身を寄せて、彼の肩に頭を乗せる。
くすくす笑いながらギアに乗せていた手をに伸ばし、頭をそっと撫でた。
「好き」
「俺も好きだよ。愛してる」
「ふふ、幸せ」
再度の頭を撫でれば、もまた龍之介の肩にすり寄る。
「何でそんなに可愛いの?」
「龍くんが大好きだからっ」
「可愛すぎ…」
そんな甘すぎる空気が漂う中、軽快に車を運転し、二人はまず一つの観光地へと訪れるのであった。