君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第97章 97
「忘れ物ない?」
「うん。準備OK!」
本日晴天。
何とも清々しい旅行日和である。
怒涛のスケジュールをこなしたと龍之介は、二人で揃ってのオフをもぎ取った。
龍之介はツアーライブ前、はまた訪れる過密スケジュール前の束の間のご褒美として旅行へ出かけることになったのだ。
「戸締り?」
「OK」
「お出かけ前のちゅー」
「あはは、ん、OK」
軽い口付けを交わし、キャリーを引く。
二人分の荷物をまとめたために旅行カバンは一つ。
「リゾートホテルは珍しくないけど、会員制の旅館って珍しい気がする」
「確かに。のとこもお得意様はいるけどって感じだよね」
「そうそう。八乙女社長が教えてくれたとこだよね、今日のお宿」
「そう。事務所自体が会員だから使えって。報道も出にくいとか」
「なるほど、ありがたし」
駐車場に降りて荷物をトランクに詰めれば、龍之介は助手席のドアを開けてを乗せる。
「助手席で良いの?」
「もちろん」
微笑む龍之介に嬉しそうに笑い、は助手席に乗り込む。
運転席に乗った龍之介を見れば、うっとりと見つめる。
「ん?」
「運転する龍くんもホントカッコいい…」
「そうやってうっとりしてくれるも最高に可愛い」
くすくす笑いながら後頭部に手を回し、自らに向かせて口付ける。
「出発前とはいえ龍くん…そんな事しちゃダメ」
「ダメ?」
「カッコよすぎてどうにかなっちゃう」
今すぐどうにかしたくなってしまうが、これから楽しい旅行が待っている。
このままシートを倒したい気持ちを何とか押し殺し、ナビを設定していざ出発である。
「フフンフンフンフーン」
「好きだね、TRIGGER」
「最推しだからねー」
鼻歌混じりに歌うに、龍之介はくすくす笑いながらハンドルを操作する。
「ライブはどこがスタートだっけ?」
「まず大阪かな。その後福岡行って、名古屋、仙台、最後に東京」
「全部行きたかった…」
軽く唇を尖らせるの頬に指を伸ばし、そっと撫でれば嬉しそうな笑い声が漏れ聞こえる。