君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第96章 96
大ハッスルしたこけら落とし3DAYSを過ぎ、Re:valeの二人と自らのマネージャー、大神万理の過去を知り盛大に驚いた数日後。
と龍之介の二人きりの旅行を間近に控えたとある日。
のスマホに登録外の番号。
見知らぬ番号ならばスルーしてブロックするのだが、その番号には見覚えがあった。
「はい、です。ああ、やっぱりお母様でしたか。ちなみにどこからこの番号を?…ああ、社長から。なるほど。で、ご用件は?」
夕食準備のタイミング。
今日は二人で食べられると龍之介が嬉しそうに皿などを準備していたところにこの電話である。
相変わらずの憮然とした態度に苦笑しながらそっと頭に口付ければ、天使も裸足で逃げ出すほど愛くるしい笑みが返ってくる。
が、今日に限ってはその笑みの後、は般若のように目を吊り上げた。
「は?お見合い…?ああ、お姉様ですか?そんなのわざわざ私に報告などせず見合いでも結婚でもなんでも…なんで私なんですか!!」
そして激昂である。
そんななのに、「可愛い」しか感想が浮かばない龍之介は少々どうかしているのではないかと心配になる。
「…同じ業界?ホテル王の息子…十さんですか?え?違う?私の知り合い…ああ、あの人ですか…え?あれと見合いですか?嫌です。お断りします。さようなら」
ぶちぃ!!と通話を切り、は小さくため息をついてから龍之介に抱き着く。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないからぎゅーってして欲しい」
「可愛すぎ」
何やらしょんぼりしているには申し訳ないが、その様は大層愛らしく、小さく微笑みながら抱き締める。
しかし、龍之介にとっても聞き捨てならない言葉が先ほどの電話にあった。
「で、お見合いって何?」
「私にお見合い話が来たって…」
「相手は知り合い?」
「うん。しばらく会ってなかったけど…相手ももうすぐデビューを控えてるホテル王の息子だって。なんで私なんだろ…お姉様の方が歳も合ってるのに……いやでも龍くんと歳一緒だったっけ…」
うりうりと龍之介の胸にすり寄りながらは呟きながらため息をつく。