君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第1章 1
「もう緊張してる…。顔合わせは来週の月曜…わぁ、明々後日じゃん…」
スケジュールをスマホにメモしつつ呟けば、自らの指が微かに震えていることに気付く。
ぐっと拳を握ってから、ゆっくりと手開く。
それだけで震えは収まった。
上京してまだ半年程度ではあるものの、オーディションに落ちるなどの苦節も何度も味わった。
それが突然のヒロイン役での抜擢だ。
喜びはもちろんあるが、不安やプレッシャーの方が大きい。
「TRIGGERの十龍之介……あの人めっちゃカッコいいんだよなぁ…ダンスとかやっばいし」
特に大ファンである、とか好きでたまらない、とかそういうわけでは無い。
今は女優としての所属だが、IDOLiSH7の活動を見ているうちに、いつかは彼らのように歌って踊ってみたいと思うようになっていた。
だから、社長に頼んで歌とダンスのレッスンも演技指導と共に懸命に励んでいる。
そんな中、IDOLiSH7のメンバーと見に行ったTRIGGERのライブで見た、十龍之介のダンスに強く惹かれたのを覚えている。
心に深く、突き刺さった。手足の活かし方、目線の使い方、すべてがに刺さった。
だから、にとって龍之介は言わば憧れの人なのだ。
そんな憧れの人物との共演に胸が高鳴ると同時に、緊張感も大きく増すなのであった。