君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第92章 92
「はもう帰っちゃったの?」
「いるよー!お疲れ様ー。龍くん」
練習を終えた一同が和気藹々と話しながらスタジオを出ると、そこにはにこやかに出迎えるがいた。
「、先帰ってても良かったのに」
「龍くんと一緒が良かったの」
龍之介の前に立ち、きゅ、と服を掴むに、キュンが止まらない龍之介。
微笑みながらそっとの頭に口付ける。
「ん。じゃあ帰ろっか」
「ん」
微笑み手を繋いだところで、あーーっ!??と後ろから大声。
何事かと振り向き、そういえばそうだった、と龍之介とは顔を見合わせる。
「ちょっと龍之介?!!ちゃんに何してんの?!!」
後ろからやって来たRe:valeの二人に呼び止められ、二人は振り向く。
「千さん、百さん、お疲れ様です!」
「うん!お疲れ様☆じゃなくて!ちゃんのこと良いなって思ってたのにーっ!!」
「僕も」
「がお二人に合う前にと一緒になれてよかったです」
「余裕!ハラタツ!!」
ぐあーーーっ!と頭を抱える百に、龍之介は思ったより元気だな、と安心すると共に素直に感心する。
これまでも、を好きなんだろうな、と思う者たちを見てきたが、あからさまにが好きで狙っていると言う者は、少なくとも龍之介の前には現れてはいなかった。
ちなみに、IDOLiSH7の面々、多分、天と楽も、少なからず友情以上の感情をに抱いていると、龍之介は半ば確信めいたものを持っている。
「に対しては、割と俺も必死だったので」
「ねぇ、」
「?!!」
千がを引き寄せ、顎を掴んで千の方へ向かせる。
龍之介が咄嗟にの腕を掴むが、千はを離さない。
「もし僕が、本気で君を口説いたら僕の所へ来てくれる?」
「いいえ。行きません」
即答である。
先輩への忖度など微塵もないその一言に、周りは一瞬、しん、と静まり返る。
「千さんがどんなに甘い言葉をかけてくれても、どんな口説き方をしても、十龍之介には勝てません」
「ふふ、良いね。素直に真っすぐ相手を思えるのは良い事だよ」
くすくすと笑い、千はそっとを離す。