君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第91章 91
「で、は龍に会いに来ただけなのか?」
「一番の理由は龍くんだけど…楽にも会いたかったよ」
「……何が欲しい、蕎麦か?」
の言葉にうっかり照れてしまった楽の返答に、がケラケラ笑いながら首を振る。
「他意はありません。まぁ、寮の方にも最近顔出せてなかったし、天と楽にも会いたかったし、千さんと百さんにも挨拶したかったし…何より龍くんと話すこといっぱいあったから」
「そうだね、こけら落としの後、少しオフ貰ったから、どこか行こうって話してるんだ」
「姉鷺に頼み込んでたのはそれか」
「私も万理さんに土下座した」
二人で何とかもぎ取ったオフを有効活用しようと、二人で計画中なのである。
「で、どこ行くか決めたの?」
「うん。車で二時間くらいで行けるとこで宿取ったの」
嬉しそうに微笑むのなんと愛らしい事か。
「私が免許取ったらもうちょっと遠出できそうだけどね」
「が運転…」
「が…」
「運転…」
想像するだけで怖すぎる。
そんな一同の表情を読み取ったのか、はぷくりと頬を膨らます。
「私そんなにどんくさいの?」
「ううん。そういう事じゃなくてなんていうのかな…心配になるんだよ。一人でどこかへ行って、その先で何かあったらって思うと…」
何を想像したのやら、龍之介は心配そうに笑った後、をそっと抱きしめる。
「こうやって腕の中に閉じ込めて、ずっと守りたい位大切なんだよ、が」
「龍くん…大好き」
今日何度目かの抱擁に、そろそろ周りも慣れてきたらしい。
「おし、そろそろ練習再開すっぞー!」
「じゃあ私Re:valeさんに挨拶してきます」
「」
「ん?んっ…」
部屋を出ようとしたところを呼び止められそちらを見上げれば、そっと口付けられた。
「頑張ってね」
「うん、すぐ戻ってくる?」
「勿論。早めに戻る」
口付けを返せば、はそのまま手を振りながら部屋を出ていく。
「あの二人、お似合いすぎて妬く気も起きねぇ」
「しかしいくら私たちの前とはいえ人前で…」
「でも海外ドラマのワンシーンみたいだったね!」
色々様々な感想を抱きながら龍之介に視線を向ける。
当の龍之介はを見送り、寂しげな息をつくのであった。