君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第90章 90
「それでは皆さん!さようなら!また来週!」
「お邪魔しました!さようならー!」
にこやかにカメラに手を振るTRIGGERの三人と。
「…放送終了!OKです!お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした!」
「さん、お父さんが倒れたって聞いたけど」
「あ、はい。今マネージャーに確認取って貰っているところです。あ、万理さん」
プロデューサーに声をかけられて答えていれば、万理が駆け寄ってくるのが見えた。
「、ごめん。どうも要領を得なくて…お母さん動転しちゃってるから、少し変わって貰っていい?…そんな嫌そうな顔しないの」
電話に出ることに思わず嫌そうな顔を隠しきれなかっただが、万理の困り果てた顔に頷きスマホを受け取る。
「お母様、です。はい、落ち着いて下さい。それでも旅館の女将ですか?」
ぴしゃりと言い放つに、周りのスタッフが立ち止まりこちらを見る。
朗らかなふんわりとした少女だと思っていれば、その冷たいまでの声音に驚いたようだ。
「…命に別状はないんですね。え?私のデビューが嬉しくて?あぁ、そうですか…お見舞いは必要ありませんね。お花だけお送りします。は?私のスケジュールも詰まっているんです。命の危機に瀕してもいないのに、何時間もかけてそちらに行く余裕はありません」
「、みんなびっくりしちゃってるから」
龍之介に肩をぽふりと撫でられ辺りを見回せば、ポカンとした様子のスタッフ達。
事情を知っている万理やTRIGGERのメンバーは苦笑している。
そんな周りの様子にうっかり笑ってしまえば、電話口の母が火が付いた勢いで話しだし、一旦電話から耳を離してから小さく息をついて再度耳に当てる。
「…後からお父様に私から連絡いたしますから。はい、では失礼します」
小さくため息をついて通話を切り、は周りのスタッフに向かい頭を下げる。
「お騒がせして申し訳ありませんでした!父は無事ですので、ご安心ください」
そう言って微笑めば、周りのスタッフもホッとしたように良かったね、と声をかけてくれた。
「ありがとうございます。それでは失礼します!お疲れ様でした!」
「、お父さんなんだって?」
楽屋へ向かうに、龍之介が並ぶ。