君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第82章 82
「次はどこ行くの?」
「祇園で友達と合流だよ、カフェでお茶して、晩ご飯食べてホテルはここね。ラビチャ送っとく」
「じゃあ、パニックにならない様にメガネ」
そう言ってかけられたのは、龍之介が街中を歩くときに使っている伊達メガネ。
「…ちょっと大きい」
「その大きいのがなんでそんなに可愛いの?」
彼シャツならぬ彼メガネで龍之介が盛大に悶えたところで、霊園の入口付近につく。
「これ、借りていいの?…予備ある?」
「勿論いいよ。予備もあるから、俺の帰りの心配はしなくて大丈夫」
の心配の種が分かったらしい龍之介は、にこりと微笑みに帽子も被せる。
「さすがに帽子は大きすぎるね」
「サイズそんなに変わらない気がしたんだけどね。でも飛んでっちゃいそうだから自分のにしとく」
自分の顔の小ささが分かっているのか?と思わず突っ込みたくはなるが、くすくす笑いながら持参した帽子を被り、は龍之介を見上げた。
うん、可愛い。食べちゃいたい。
そんな事を目の前の男が思っているとは露にも思わず、はにぱりと微笑んだ。
「そうだね。タクシー呼んである?」
「うん。そろそろ来てると思うよ。龍くんは?」
「俺は待ってもらってる。だからそろそろ行かないと」
「わかった。残りの撮影頑張ってね」
「は気を付けて。愛してる」
「私も愛してる。行ってらっしゃい」
「も行ってらっしゃい。愛してるよ」
そっと口付け、手を振りタクシーへ向かう龍之介を見送る。
その少し後に到着したタクシーに乗り込み、もまた霊園を後にした。
~おまけ~
「龍、お帰り」
「うん、待たせなかった?」
撮影現場に戻った龍之介は、天と楽に迎えられた。
「まだ直ってないし、大丈夫。は?」
「可愛かった」
「……そうじゃなくて」
「え?あ、ごめん。これから祇園だって」
「お前……ホントのことになると…」
ポーカーフェイスを気取ってみるものの、実はデレッデレな龍之介に、苦笑を浮かべるしかない天と楽であった。