君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第82章 82
「では、楽、天、龍くん、旅のご安全をお祈りしてます。行ってらっしゃいっ」
メイクと着替えを終えたTRIGGERの三人。
チェックアウトまで控室としていた部屋から出れば、プライベートなのにメイクと服装をばっちり整えたの姿。
「ありがとう、」
「そんなにめかしこんでどうしたんだ?」
「三人に今日最後に見せる姿がボサボサ頭のボロボロ服なんて嫌ですから。今自分でできる限りの最高の可愛いを詰め込みました!」
自分が世界一可愛いとは全く思っていないようだが、自分の長所をよりよく見せる術はよぉく分っている。
目論見通り、TRIGGERの三人にとって世界一可愛い女の子を見せることが出来たらしい。
「…そんな可愛…可愛い…」
「龍、落ち着きなさい」
周りにスタッフも揃い始めている。
ここで迂闊にに近づけてはいけない、と姉鷺は龍之介の肩をガシッと掴む。
「龍くん、また明日ね」
「うん、寂しいけど…」
近付くの頬を撫で、龍之介は軽く首を傾げる。
「あと心配」
「もぉ、お仕事集中してください」
くすくす笑いながらが龍之介の服の裾を軽く掴み、そっと見上げる。
「明日の夕方にはちゃんと帰ってるから。ね?」
「うん。気を付けてね」
「龍くんもね。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
周りに見えない様に、互いの指輪をそっと撫で、は龍之介から一歩離れて手を振る。
スタッフ達には頭を下げて見送り、TRIGGERを含めた撮影陣の姿が見えなくなれば部屋へと戻る。
「荷物フロントに配達お願いして…」
「」
何なんだ今日はホント。
部屋の外から聞こえた声に、小さく息をついて扉に向かう。
扉を開ければ姉の姿。
「なんでしょうか、お姉様」
「貴女はこれからどうするの?」
「母のお墓参りに行って、友達に会いますけど」
「そう、そのまま東京に帰るの?」
「はい、新幹線なら帰る時間も動いてますし」
本当は駅に近いホテルに一泊するが、父にも帰ると言ってあるし、一泊することを伝えると何となく面倒なことになりそうだと判断し、はやんわりと微笑みそう伝える。