君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第8章 8
「…ちょ、あの子ダンスまでできるわけ?!くぅ…やっぱりうちに欲しかった…!!」
「すごい…」
飲み物を買いに出ていたらしい龍之介と姉鷺が通りかかり、楽しそうに踊るを見る。
「?あれ、アンタのパートじゃない」
「ですね…あ、止まっちゃった」
どうやら難しい振りの所で躓くらしく、一度止まって何度か振りを確認する。
「さん」
「?!十さん!!…見てました?」
「見ちゃった。そこの振り難しいよね。俺も覚えるまでちょっとかかった。そこはね…」
に声をかけ、近づけば、買ったばかりのペットボトルを地面に置き、龍之介がアドバイスを付けくわえながら踊り出す。
「そっか、私は右足がちょっと遅れてたんですね」
「そう、一緒にやってみよっか」
がイヤホンの接続を外し、スマホから音楽を流す。
龍之介に続き、も踊り出せば、二人は楽しそうにステップを踏む。
割と大きく音を出してしまったからか、スタッフや共演者も集まってきている。
けれど、踊り出してしまったら止まらない龍之介と、楽しくて仕方のない様子のは、周りに気付かず二人で一曲踊りきる。
「っ出来たー!!やっばい、超楽しかったです!!」
「俺もすっごく楽しかった!」
二人でハイタッチを交わせば、拍手が聞こえ振り返る。
そこには音に引かれて集まっていたスタッフたち。
「すごーい!」
「息ぴったりでしたね、お二人とも!」
「ナイスコンビ!」
次々に褒められ、は龍之介と顔を見合わせてからペコペコと頭を下げる。
「すみません、皆さん休んでらしたのに…」
「いやいや、いいもの見せてもらったよ」
「見てて楽しかったですよ!」
踊ることで、誰かに喜んでもらえる。
周りの笑顔に、もまた嬉しそうに笑った。
この日は、がまた一層深く、ダンスにのめりこんだ日となったのであった。