君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第74章 74
「付き合ってるって、言わなくていいのか?」
「一緒に住んでることも言わなくていいの?」
「まだ言う時じゃない気がしたし、より先に俺が言うのもどうかなって思ったから」
龍之介の言葉になるほどと頷いていれば、いかにもさっぱりしました!とばかりに、にこにこ顔のが駆けよって来た。
「龍くーんっ」
「。…やっぱり洋服も可愛い」
「ありがと」
「大丈夫?」
「ん。昨日は針の筵だったけど、もう平気」
にこりと微笑むに、天と楽は首を傾げる。
普通なら休まるはずの実家が針の筵とはどういうことなのか、少々悩ましい所があるのだろう。
そんな二人に苦笑し、は小さく頷き口を開く。
「まぁ、色々あるんですよ。この家とは」
「そうか。俺も親父とはあの通りだし、人んちの事言えねぇから聞かねぇけど…なんかあったら龍にもちゃんと相談しろよ」
「うん。ありがとう、楽さん」
「そろそろさん付け辞めていいんだぜ?」
「照れがなくなったら、即外します」
の答えにそうかと頷き、楽は笑う。
四人で連れたってエレベーターを降りれば、一般客が驚きの表情で迎えた。
「明日とかパニックにならないかな」
「大丈夫だと思うけど。スタッフもいるし」
「お庭こっちでーす」
割とマイペースな所があるの案内で、扉を開けて庭に出る。
「着物の方が格好付いたかな、ここは」
「そう?充分可愛いけど」
マキシ丈のワンピースに身を包み、コルセットベルトを巻いたは何とも愛らしい。
日本庭園に居ながら洋装のは、浮いてしまうかと思えば何故だかいい感じに引き立っていた。
「お、あの画撮っとけ!」
「はい!」
そこを通りかかったプロデューサー。
スタッフにカメラを向けさせる。
「庭園、綺麗だね。手入れ行き届いてて…」
「自慢のお庭です。春や秋には野点もするんですよ」
「へぇ、面白いね。俺作法とか全然わからないけど」
「お茶は楽しめればいいんだよ。でも龍くんが和服着てお茶立ててたら…やばい、最高…ご飯100杯イケる…」
妄想大爆発のである。
そんなをあきれ顔も含みつつ、それでも愛し気に見つめるTRIGGERの面々であった。