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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第73章 73




少なくとも龍之介の旅行カバンは、家から持って行ったものと同じだ。
天と楽も入れ替えの時間などなかったろうし、プライベートなものなのだろう。

「はい、こちらが今夜皆さんにおくつろぎいただくお部屋、松の間となっております。どうぞ」

鍵を開け、扉を開いて三人を室内へ促す。
スタッフとカメラも入ってからも追うように室内へと入った。

「大きな部屋だね」
「露天風呂あるぜ!」
「二人とも、バラバラに動かないでよ」
「旅館自慢のお部屋です」

三人が部屋を見終わり座卓の周りに座れば、お茶を入れ始める。

「お食事は六時の予定です。大浴場は夜の十二時までご利用になれます。とはいえ、お部屋についている露天風呂も大浴場と同じ温泉なので、こちらで温泉は十分楽しめるかと思いますが…」

芸能人は大浴場や銭湯には行き辛いという者もいる。
じろじろ見られたり、不躾な言葉を駆けられたりすることもあるからだ。
ちなみにはデビュー後一度銭湯に行って、ジロジロと見られたのが若干トラウマになり、それ以来銭湯などの浴場に一人では行けなくなってしまっている。

「いいね、大浴場!」
「あとで行こうぜ、龍!」
「僕はその間休もうかな」
「何だよ天も来いよ。裸の付き合いって大事だろ」
「…なら行くのは眠くなる前にしてよね」

仕方なしに呟く天に、龍之介と楽はくすくす笑い頷いた。

「カット!お疲れ様でした!少し休憩はさみます!」
「はーい」
「お疲れ様でした」
「着物苦しー…」

カットがかかり、三人座ったまま力を抜く。
は机に顎を乗せて息をつく。

「さん、控室の方で着替えお願いします!」
「はい、わかりました!」

スタッフに呼ばれ、は立ち上がり三人に手を振る。
龍之介を見て軽くウィンクしそのまま部屋を出るのであった。

「いつの間に覚えたのあんな可愛いの」
「アイドルの素質あるよね、」
「アイツほんと可愛いよな」

愛らしいの表情に、まんまとやられてにこにこしてしまうTRIGGERの三人であった。

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