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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第8章 8




「もうちょっと寄り添ってー!!そうそう、そんな感じ!ちゃん、十くん見上げて、そうそう!うっとりー!!」
「充分うっとりしてますよね、私。」
「うん、可愛い」

ただいま宣伝用の映像撮影中。
二人で背を向けて並んでいるところから横並び、向かい合って寄り添うまでの一連を何パターンか撮っている。
ドラマの宣伝なのだから、役に沿って演じろと指示が出たため、はひたすら龍之介に惚れ込んだ演技、龍之介もを愛でる演技をこなしている。
ちなみにの役名は雅。龍之介の役名は徹である。
親の決めた許嫁でありながら反発し合っていた二人が、心を通わせていくラブストーリーだ。
ありがちな話では?と始めは思ったが、ありがちだからこそのテンポの良さと、演技力の幅が求められ、脚本も徐々に深い話になっていく。

「うん、いい感じ。あとは…ちょっと二人で役に沿って好きなように動いてみて」

突然のアドリブを要求され、は一瞬考えこんだ後、カメラが回っていることを確認してから龍之介の肩を指先でトントンとつつき、軽く首を傾げた龍之介に背伸びして、コソコソと耳打ちする。

「十さん、私を後ろから抱き締めてみてください」
「ん…?うん」

ほのかに照れながら、を後ろから抱き締めようとすれば、は龍之介の腕からするりと逃げる。
一度驚くものいたずらっ子のような笑みに龍之介も、よーし!と笑い、今度こそ逃げるを後ろから抱き締め掴まえた。
そののつかまった瞬間の表情に、スタジオ中がざわめいた。

「……完璧…」
「すごい…雅と徹がいる…」
「十くん…ていうか、徹か。徹が好きで仕方ないって、そういう笑顔ですよね、あれ」
「あの子新人でしょ?あんな演技できるなんて……」

スタッフ側からは、何か耳元で悪戯めいたことを呟いた扮する雅が、逃げようとした瞬間に龍之介扮する徹につかまり、嬉しさと驚きで笑いだしてしまった。ように見えた。

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