君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第73章 73
たちが京都へとついた翌日、夕方より少し前。
TRIGGERの面々は予定通り旅館の付近から撮影をスタートし始めた。
「さて、今夜のお宿はこちら。旅館さんです」
「すっごく大きいね!」
「ここ、あれだろ?の実家なんだろ?」
「らしいね。こんなすごい旅館のお嬢さんなんだね」
の実家という事は公開OKの情報であり、三人は旅館を見上げながら感嘆のため息である。
表から見える本館は古き良き和風高級旅館であるが、その後ろには豪奢な背の高い、新館と呼ばれる建物が建っていた。
「じゃあ早速、行ってみようか」
天の言葉に楽と龍之介も頷き、三人でエントランスをくぐる。
カメラやスタッフも続いて入れば、すでに頭を下げ出迎えている従業員たち。
真ん中に三人、その両側に同じ着物の仲居と思われる者たちが三人ずつほど並んで頭を下げていた。
龍之介はそこで、はて?と首を傾げる。
に教えられた幹部従業員の数と違っていたからだ。
「TRIGGERの皆様、ようこそ旅館へいらっしゃ…」
「龍?!」
真ん中で頭を下げていた女将と思しきものがそのまま声を発した瞬間、龍之介が駆け寄り、跪いてそっと女将の顎に触れ顔を上げさせた。
「…!」
「もぉ…なんですぐ分かっちゃうんですか」
くすくす笑いながら顔を上げたは愛おしそうに龍之介を見上げ微笑む。
そんなの頬を撫で、龍之介は思わぬ場所で会えた喜びの笑みのまま顔を寄せようとするところを、カットの声がかかりハッとする。
「実家とは聞いていたけど、どうしたの?」
「本当は顔を上げて「何で?!」を期待してたんだけど…龍くんの耳はごまかせなかった」
そう言ってくすくす笑うはいつもと服装や髪形が違うせいか、雰囲気が違って見えた。
白地に満開のボタンの華があしらわれた華やかな着物を着用し、普段下ろしていたりゆったりと結ばれていることの多い髪は綺麗にまとめ上げられていた。
「、凄く綺麗…」
「ありがとう。着物なんて久しぶりに着たからちょっと苦しい」
呟きながら帯を撫でるの頭を、セットが崩れないようにそっと撫でる。