君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第66章 66
小鳥遊のその言葉に、は小さく頷き、再度深く一礼する。
彼は本当に、の事を実の両親以上に大切に思ってくれる。
初めてを叱ったのも、心から褒めてくれたのも、きっとこの小鳥遊音晴という大人が初めてだと今更ながら感謝でいっぱいだ。
「ありがとうございます。実の親より愛情深く見送ってくれる社長に出会えて、私は本当に幸せです」
「僕も、君の事は紡くんと同じように大切な娘だと思っているよ。だから、絶対に無理しない様に。週に何度かは、僕にも顔見せて」
「はい!」
顔を上げ、は嬉しそうに微笑み、そして同時に軽く涙ぐんだ瞳を指先で拭う。
本当に嫁入りかと自ら錯覚してしまいそうなほど、たった半年見守ってくれている小鳥遊に父性を感じてしまっていた。
「今日は本当にありがとうございました。押しかけたのはこちらなのに申し訳ありませんが、次の仕事がありますので、本日はここで失礼させていただきます」
「わざわざ挨拶の為にスーツまで来てくれたんでしょう?それだけくんを大切に思ってくれてありがとう。これからもよろしく頼むね」
微笑み頷く小鳥遊に一礼し、龍之介はに視線を向け微笑む。
「見送って良い?」
「ありがとう。に送り出されたら何倍も頑張れるよ」
二人で会議室を出れば、辺りを見回す。
「緊張した…」
「カッコ良かったよ?龍くん、これからもよろしくお願いします」
「うん。こちらこそ、よろしくね。。愛してる」
「私も愛してる」
微笑むの頬を撫で、そっと顎を掴んで口付ける。
嬉しそうに口付けを返したの頭をそっと撫で、龍之介は次の仕事へと去って行った。
もまた打ち合わせがあるために会議室に戻った瞬間、口元を抑えその場に座り込む。
「?!」
「どうしたんですか、ちゃん?!!」
「す…」
「「す??」」
「スーツは……ずるい……」
あ、悶えてただけね?
幸せそうなに苦笑交じりながらも、ほっこりする一同であった。