君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第66章 66
数分と経たぬ内に再度扉がノックされ、応答すればスタッフと共に龍之介が一礼して入ってくる。
珍しくピシッとしたスーツ姿の龍之介に、は驚くと共に軽く首を傾げた。
「お約束無く、突然お邪魔して申し訳ありません」
「大丈夫だよ。くんも知らなかったみたいだけど」
「はい。今日は夜まで仕事と聞いていたので…」
小鳥遊の言葉には頷き、龍之介を見上げる。
そんなに空き時間が出来たんだ、と答え龍之介は微笑みながらそっとの頭を撫でた。
「でも、突然どうしたの?」
「実は…折り入ってお願いに参りました」
「お願い?」
龍之介の言葉には首を傾げつつも龍之介の隣に立つ。
その方が、今この場に相応しいと思ったから。
「と、一緒に俺のマンションで住まわせてほしいんです」
「龍くん…」
「今ちょうど、くんの引っ越しについて話してたところだよ。二人でその話は進めていたのかい?」
「いえ。二人で話していたのは、が高校を卒業してから結婚に向けて話を進めていこうという事でした」
「そうか。くんは?」
「私も、一緒に住むのは私が頑張りすぎてしまう懸念があるので、と十さんが理解してくれていたので、高校卒業してから…とは思っていました」
二人の言葉に小鳥遊は小さく唸り、そして頷く。
「高校を卒業してから。二人の意志はそこで一致しているのに、何故今から一緒に暮らしたいと?十くん」
「大きな理由は俺の我儘です。お互い忙しい中でも少しでも長く一緒に居たい。それと、正直…この寮のセキュリティの中にを置いておくのが心配になりました。俺のせいでもありますが、があの寮で暮らしていることがファンに知れ渡りました。玄関前まで記者が入り込めるとなると、が一人で過ごすときに何があるかわからない。それなら、少しでもセキュリティの強い俺のマンションで安心してほしい。そう思うんです」
龍之介のその言葉に、なるほど、と小鳥遊をはじめその場の全員が頷く。
一織、環と共に学校へ行く様子が撮られ、が寮から出てきた場面を撮られている。
部屋や浴室の鍵等は強固なものに変えたが、他は正直何も変えていない。