君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第6章 6
「……」
「……さん」
「はいっ!!あ、あの!先日はすみませんでした!あの、あれはファンという意味で!そういう意味でありまして!!決して!やましい意味は!!」
「え、あ…う、うん!そうだよね!うん、大丈夫!大丈夫だよ!」
二人向かい合って、両手を自らの胸の前でぶんぶん振りながら言葉を交わす様は周りから見たら何んともおかしいが、本人達は必死である。
「良かった…気まずくなったらどうしようって、不安だったんです」
「ずっと緊張させちゃってたんだね。早く連絡出来てたら…あ、良かったら連絡先交換しない?」
「え?!い、良いんですか?!私なんかが天下の十龍之介さんの連絡先を知っても良いんですか?!」
龍之介の提案に、は目を見開き、恐れ多い!と龍之介を見上げる。
「そんな大層なものじゃないと思うけど…あ、事務所から止められてるかな?」
「いえ、今のところはそういうことは…十さんなら大丈夫だと思います。ので、よ、よ、よろしいでしょうか?!」
今にも土下座でも始めるんじゃなかろうかという勢いで頭を下げ、スマホをポケットから取り出すなりズビッと龍之介に差し出す。
スーパー営業マンの名刺交換の様だ。
そんなにくすくす笑いながら、龍之介もスマホを取り出した。
「さん、顔上げないと交換できないかも」
「はっ!そうですね!」
龍之介の言葉に顔を上げ、次いでにこりと微笑めばはラビチャを立ち上げ龍之介に差し出す。
「私のラビチャアカウントこれです。こっちが私用なので、こっちのアカウントでお願いしていいですか?」
「うん。あ、公式アカウントもフォローしていい?」
「はい!私はすでに登録してます!」
「あはは、ありがとう。嬉しいよ」
無事に連絡先を交換し、は何とも嬉しそうに微笑む。
その笑顔が何とも可愛くて、龍之介はほのかに頬を染めた。
「嬉しそうだね」
「はい、IDOLiSH7のみんなしか登録されてなくて…十さんが初めてのお友達です」
「それは光栄だね」