君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第52章 52
「龍くんの初恋は?」
食事の最中、ふとしたのそんな問いに龍之介は首を傾げる。
「初めて私を愛してくれたのは龍くん」
「うん」
「私が初めて愛したのも、龍くん。でも、龍くんの初恋は?」
「俺が初めて愛したのもだよ」
「ふふ、またまた」
「初恋は…TRIGGER」
呟く龍之介に、はそちらを見て小さく頷く。
「上京して、初めて天と楽に会って、TRIGGERに恋をした。だけど、愛しいって、愛してるって思ったのは、が初めてだよ」
「…でも、彼女…いたことあるでしょ?」
「え、ないよ?」
あっさりと返され、は驚きのあまり目を見開く。
んなわけあるか!と言わんばかりだ。
「え?!」
「え?」
「なんで?!モテたでしょ?!女に困ったことないくらいモテたでしょ?!!龍くんだよ?!」
力と熱がこもりまくりである。
拳を握り締めて、まさに力説だ。
「いや、俺は海で友達と遊ぶ方が楽しいくらいだったし…弟たちの世話とかもあったし…」
「え、だってそんなに経験ないって…」
「そんな「に」じゃなくて、そんな経験ないって言ったと思うよ。俺もあの日初めてだったんだよ」
「……嘘でしょ?!初めてなのに私の事あんなぐっちゃぐちゃにしたの?」
「ちょ、恥ずかしいからっ!」
真っ赤になっての口を塞げば、少々落ち着きを取り戻したは龍之介を見上げる。
「ホント、に?」
「ホントに。そりゃラブシーンとかはあったけど、俺、彼女すらが初めてだよ」
「龍くんも、私も、お互い初めての恋人…なの?」
「そう」
「私、龍くんの初めてを頂いてしまっていたの?」
「…そう」
「一生大事にします!!!!」
がばりと土下座である。初めて連絡先を交換した時と言い、土下座癖でもあるのかと若干心配になる。
そんなの顔を上げさせ、龍之介はくすくす笑う。
「俺も、の事ちゃんと大事にするからね」
「ありがとう」
「それにしても…まさかそんな誤解されてたとは…」
「すみません…。龍くんカッコいいからてっきり…。いもしない過去の彼女にやきもち妬いてたなんて…」
苦笑交じりの龍之介に肩を縮こめ、は呟く。