君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第47章 47
「可愛い…。天、楽、決まった?」
「俺は蕎麦」
「僕は…さんと同じやつにしようかな。量は普通で」
「俺も蕎麦にしようかな。決まったね」
テーブルに設置してある呼び出しベルを押せばがそっと離れる。
程なくして店員がやってきて注文を伝えれば、揃って茶を飲む。
「、疲れてる?」
「ううん、疲れてないけど、温存中。龍くんとの撮影はいつもよりちょっとだけ気張るから」
「そっか、そうだよね。今は甘えていいから、頑張ろうね」
「ん」
にこりと微笑むはとても可愛い。
そんなの頭をそっと撫でる。
「良い演技だったね」
「ありがとうございます」
「楽も、引っ張られて無かった?」
「正直引っ張られた。すげぇよな、」
「へ…」
突如呼び捨てにされ、は褒められた事より驚いてしまった。
「まだ引っ張られてるんじゃないの?楽」
「あ?いいじゃねぇか。演技とはいえ一回呼び捨てしてんのにまた苗字戻んの変な感じすんだよ」
「ほんとに中身小学生だよね」
「あの、私は構いませんので…」
「うん、さんは良いんだろうけど、君の隣の男がさ」
「え?」
天の言葉にが隣を見上げれば、拗ねたような表情の龍之介。
「龍くん?」
「俺だって…人前ではちゃん付けなのに…」
「それは、うっかりが出ない様に、でしょ?」
「うん」
「」
「?!!九条さん?!」
突如天からも呼び捨てにされ、は目を見開き天を見る。
「楽が呼んで、僕も呼び捨てにすれば龍も呼びやすくなるんじゃないかと思ったんだけど」
「TRIGGERのメンバーに呼び捨てされるとか…私、暗殺されませんか?」
「お前の日常、物騒だな」
「それくらい恐れ多いんですっ!」
「大丈夫。俺が守るから」
「龍くん…」
うっとりと呟くに惹かれるように、龍之介はの前髪を軽く上げて額に口付ける。
「可愛い」
「お待たせいたしましたー」
扉の向こうから店員の声が聞こえ、と龍之介はすっと離れ、はスマホに視線を落とす。
こなれてるな、と心中頷く楽であった。