君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第47章 47
カフェの一角。
向かい合い座ると楽。
二人とも神妙な表情だ。
[連絡、しなくて悪い]
[楽も忙しいもん…仕方ないよ]
[俺がいない間、お前どうしてた?]
[え?]
[…アイツと、居たんだろ?]
[楽…?誤解だよ。あの人とは何も…]
[じゃあなんでアイツがお前の傍に居んだよ!…俺より、アイツが良いんだろ?]
[やめてよ!私が…私がどんな思いで楽の事…待ってたと…]
しばし沈黙。
が小さく鼻をすすり、立ち上がれば楽を見る。
[楽…楽の事、大好き。だけど……ごめん]
そう言って、財布からお札を置いて出ていく。
[…ごめん…]
の座っていた場所を見つめ、ぽつりと呟く楽。
その余韻をしばし残してから、カットがかかった。
「切ねぇ…」
「はぁー、切ない…」
濡れタオルで瞼を冷やしながらは苦笑する。
何カットも様々なシーンを撮っていたが、正直ここに一番熱を入れるべきだとは思っていた。
このシーンが白熱すればするほど、これまでのシーンとこれからのシーンが際立つからだ。
「ラストのシーンは明日撮るんだよな」
「はい。明日ドレスがあるので、一気に二着着ちゃおうってことで」
「あと残り少しなので、ピッチあげて頑張りましょう!」
「はい!」
そしてその後も気合を込めて撮影に取り組み、本日予定していた楽とのシーンを撮り終えることが出来た。
「ふぃー…疲れ、た…」
「ほとんど一発OKだったけど、目まぐるしかったからね」
「個室のお店予約取れたから、ゆっくりさせてもらおう」
「あ、ありがとうございます。九条さん」
店は近いとのことでタクシーに四人で乗り込み店に着けてもらう。
扉を開けばすぐに個室に案内され、席に着けばはほっと一息ついた。
「何食べる?ここ、なんでもあるよ」
「うーん…結構朝しっかり食べちゃったから、軽めにしようかな」
呟きながら首を傾げ、龍之介を見上げればその肩に額を摺り寄せる。
そんなに微笑み肩を抱けば、龍之介はメニューを捲る。
「パスタサラダだって。少な目のできるみたいだよ」
「うん、それにする」
小さく頷き龍之介を見上げれば、にこりと微笑む。