君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第44章 44
ブーブー言いながらもはかけ蕎麦を目の前にすれば嬉しそうににっこり。
「お前さん、ほんと可愛いな」
「あれ?っちそんな指輪してたっけ?」
「ん?ああ、初ギャラ入ったからご褒美に買っちゃった!憧れのブランド物!」
どやぁ、と微笑むにはよ食えーと大和が食事を促し、一同近況を話しながらモグモグタイムを終え、は丼を洗って自室へ向かう。
「」
「大和さん」
「ちょっといいか?」
廊下で大和に呼び止められ、は微笑み頷く。
「なぁに?」
「その指輪。十さんからだろ」
「え?何で?」
「さっき、十さんも嵌めてたろ?」
す、鋭ーーー?!!
そう言われてしまえば、はうっかり認めたくなるが、あっさり認めるわけにはいかないのだ。
「嵌めてたんだ。同じ奴かはわかんないけど、これ元々十さんに教えてもらったブランドだよ」
「ほぉ?で、お前さんの恋愛感情は共演中のもんだけだったってこと?」
「…私は好きだよ。でも、十さんはわかんない…こうして一緒にお仕事して、ファンですって公言してるからちょっとだけ可愛がってもらってるけどさ」
呟きながらは大和を見上げる。
「だから、片思い、だね。指輪も十さんに教えてもらったとこにしたの、似た奴付けたかったからかも」
「…なるほど」
「てか、ホントに十さんも嵌めてたの?指輪」
「見てないの?同じ場所に着けてたぜ?」
「嘘?!え、ちょっとそれは…にやにやしちゃうかもしれない…」
「ガチファンすげぇな」
くすくす笑いながら、風呂入んだろ?呼び止めて悪かったな、と大和はの頭をぽふぽふ撫で、その場を去った。
まだ、まだ安堵の息をついてはいけない。
大和の鋭さに改めて気づかされた。
まだ視線を感じ、普段通りを装い、部屋に入ってようやく息をついた。
「はぁ…どっきどきぃ」
くすくす笑いながら呟き指輪を見る。
「…頑張れそ。ありがと、龍くん」
微笑み指輪をなぞり、は風呂の準備を始めるのであった。