君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第44章 44
寮へと帰ってきた。
IDOLiSH7の皆はまだ仕事の様で出迎えはない。
「…はぁ、うっかり両親の事呟いちゃったなー」
一旦自室へ荷物を置き、リビングへ入りお湯を沸かす。
ひとまず、お茶を飲もう。
そう思って湯が沸くのを待っていれば、スマホの着信が鳴る。
「龍くん?」
『、今大丈夫?』
「うん、大丈夫だよ」
『今誰か傍に居る?』
「みんな仕事みたい。今一人」
沸騰を告げる電子音が鳴り、紅茶をいれながら呟く。
『良かった。ちょっと寮出れる?』
「へ?」
『今、下にいるから』
「え?!ちょ、今行く!!」
バタバタと上着を引っ掴み着ながら玄関まで下りる。
扉を開けば、目の前に先程離れたばかりの龍之介の姿。
そっと玄関の中に招き入れ、はそっと近づき龍之介の服を掴む。
「ど、したの…?」
「本当は、今日の夜渡そうと思ってたんだけど‥」
呟きながら龍之介が上着のポケットから取り出したのは小さなアクセサリーボックス。
あからさま過ぎた?
とくすくす笑いながら龍之介が箱を開ければ、ゴールドとピンクゴールドの指輪が2つ。
「龍くん…?」
「本当は明日なんだけど、一か月記念、てやつ」
「っ龍く…」
うるうると瞳を潤ませて、は龍之介を見上げる。
龍之介はそんなの目元を拭い、微笑んでの左手をそっと手に取る。
「ここは、予約。三年後期待してて。今はここ」
薬指を撫でてから、中指に触れる。
「サイズとか…教えてない…」
「が寝てる間にこっそり測った」
起きないかヒヤヒヤしながら。
そんな事を言いながら龍之介は箱からピンクゴールドの指輪を手に取る。
そしてそっとの中指に指輪を嵌めた。
「ぴったり…」
「良かった」
「私も、つけていい?」
「うん。お願い」
こくりと頷き、は箱から指輪を取り出し、龍之介の左手の中指に指輪をそっと嵌める。
「…、肌白いからピンクゴールドに合う」
「龍くんも。瞳の色と一緒…」
龍之介を見上げ目元を撫でれば、微笑まれそっと唇が降ってくる。
「愛してる。これからもよろしくね」
「私も愛してる。これからも、傍に居させてね」