君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第42章 42
「あ、!俺そろそろ行かないと…」
スタジオに入り、撮影開始を待っていれば万理が腕時計を見ながらに告げる。
「あ、MEZZOの送迎でしたよね!行ってらっしゃい」
「俺、帰り寮まで送りましょうか?」
「それまでには戻れると思うんだけど、もし間に合わなかったらお願いしても良いかな?」
「勿論です」
今日は姉鷺もいるし、一緒に送っていくのだから問題ないだろう。
そう判断し、万理は頷く。
「万が一、泊まりとかになったら連絡して」
「わかりました」
理解力のありすぎるマネージャーである。
「じゃあ、また!宜しくお願いします!」
「はい、気を付けて」
「行ってらっしゃーい」
万理を見送ると、すぐにCM撮影に入ると声がかかる。
軽くメイクを整えてもらい、は鼻歌混じりにセットに上がる。
今回、は口ずさみ程度にだが歌うのだ。
「じゃ、まずカメリハ行きます」
「はーい」
「はい!」
CMも二種類の撮影である。
流れとしては、窓際に立ち歌うの声に惹かれてやって来た龍之介が窓から侵入し、の美しさに一目惚れしベッドに連れ込むというものが前半。
後半は最初のイメージから一転し、龍之介とベッドで果実を食べるというものである。
前半は清らかに、後半は艶やかにがコンセプトである。
二人でセットに上がり、が窓際に立てばスタートがかかる。
「スタート!」
が歌い出せば、周りのスタッフがざわめく。
単純に、上手いのだ。
女優であることが勿体ないとまで思ってしまう程、の歌声は素晴らしかった。
歌手である龍之介ですら、一瞬聞き入ってしまう。
すぐに自分の役割を思い出し、そのままの元へ駆け寄り、窓から彼女の部屋へ侵入する。
驚くに微笑みかけ頬を撫で、首筋を撫でてからそっとを抱き上げる。
そのままベッドにを運び、シーツをめくってそのままカメラへと投げた。
レンズにシーツがかかれば、カットがかかる。
「カーット!リハOKー!」
「ありがとうございます」
「さん、歌手でも行けるんじゃない?」
「ボイトレはしてますけど…まだまだかと…」
恐れ多いです、と苦笑しながらは一礼する。