君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第4章 4
絶対これわざとだ!わざと車を止めて窓を開けた!
とが思っていれば、龍之介がに視線を合わせるために腰をかがめた。
「さん」
「はい…すみません…」
「謝らないで。嬉しいよ」
優しい声音に、は顔を上げて龍之介を見上げる。
「っ!」
「大丈夫。怒ったり困ったりしてないよ。だから、今日はゆっくり休んで、また木曜日にね?」
神様かこの人は。さすが天下のTRIGGERは違う。
何なんだ。本当に好きになってしまうではないか。
等と思っていれば、龍之介に微笑まれ、は真っ赤なままこくこくと頷いた。
「はい、ありがとうございます。…え、と…おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
窓、閉めるね。という万理に頷き、はひらひらと笑顔で手を振る龍之介に軽く手を振り返しながら頭を下げる。
そして窓が締まり、小さく息を吸い、走り出す車の中で、絶叫した。
「万理さんの…バカァーーーーー!!!!!!!!!!!」
そんなの大声が聞こえたわけでは無いのだが、龍之介は去っていくの乗った車を見る。
「…真っ赤だったな。可愛かったなぁ…」
こんなに、相手に対して万全の優しさを注ぎたいと思ったのは久しぶりである。
「マネージャーさん?と仲良さそうだったな…小鳥遊事務所はみんな仲良しなんだね。IDOLiSH7のみんなとも仲良いのかな」
自分の車に向かいながら、龍之介は一人呟き、勝手に胸の奥をモヤモヤとさせる。
「…いや、まさか」
そのモヤモヤの正体に心当たりがつき、苦笑しながら首を振る。
彼女は未成年。自分とは6個も離れている。
相手にされるわけがないし、相手にしてはいけないとも思う。
それでも…
「…可愛いんだよな」
動き出したこの気持ちは、龍之介自身であっても簡単に止められるものではないのかもしれない。