君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第4章 4
「(背、たっけえな)小鳥遊事務所の大神万理です。迎えが遅くなって、付き合わせちゃったみたいで申し訳ない」
「いえ、さんと話すの楽しかったので…。じゃあ、木曜にだね」
「はい!入りの初日一緒ですものね、楽しみです!では、また木曜日に」
「さ、帰ろう。三月くんが心配する」
万理がの肩を軽くたたき、帰りを促す。
そんな万理に素直に頷き、龍之介に再度帰りの挨拶をしてから歩き出すが万理に信頼を寄せているのが見てわかり、龍之介は胸が軋むような感覚を覚えた。
「間近で見るとますますいい男だねぇ、十くんは」
「本当に。でも、テレビで見る感じと少し違うような…」
「そう?俺にはセクシーでエロく見えたけど」
車に乗り込み、万理はにペットボトルの水を渡しながらそう呟く。
がシートベルトをしたのを確認し、エンジンをかける。
「なんにせよ、楽しんでやれるといいね」
「はい、楽しめるよう、しっかり務めて頑張ろうと思います」
「うん、台本読みとかは付き合うから、いつでも言って」
「ありがとうございます、万理さん」
万理の言葉に微笑み、車が発信すれば、窓の外に遅れて駐車場へやってきた龍之介を見つける。
「ー?惚けすぎ。そんなに十くんが好き?」
「へ?え?な、なに言ってるんですか万理さん!そりゃ十さんは憧れだけど…好き…ファンとしては…本っ当に十さんのこと大好きだけどっ」
「え?」
「え…え?!!」
聞こえてきた万理とは違う声に、はハッとして振り返る。
発信したはずの車はいつの間にか停まり、の座っている座席の窓が全開。
そこに立っていたのは、十龍之介本人であった。
「つ、つつつ十さん?!!今、今の聞いてまし、た…?!」
「あ…う、うん…聞いちゃった」
どこだ。どこから聞かれていた?ファンとしては、とか憧れだ、とかが彼の耳に入っていれば変な意味には捉われないはずだ!
だが、照れ臭そうに頬を掻く龍之介の姿に、は白目を向きたくなった。
多分、きっと、いや絶対!
本当に十さんの事大好きっ!
の部分だけ聞かれている!
「~~~っ!ふ…っ」
有能事務員は、ハンドルに顔を隠し、肩をブルブル震わせている。
声を出さずに大爆笑だ。