君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第34章 34
翌日、は一日の仕事を終え、龍之介のマンションへとやってきていた。
本日、とうとう二人が主演を務めたドラマが全国放送される日である。
「今更だけど、事務所で見なくてよかったの?」
「うん、今日みんな仕事だったんだー」
「そっか、一人で寮にいるのも寂しいしね」
「そうなの。それに、会えるなら龍くんに会いたいの」
テイクアウトの夕飯をつつき合いながら二人はにこりと微笑む。
今日はイチオシの中華である。
のリクエストを元に、龍之介が仕事帰りに買って来たらしい。
「俺も会える時間は少しでもに会いたい」
「箸で唐揚げがっしり掴んで言ってるのに世界一カッコイイのなんなの?」
「もエビチリ掴みながら言ってるのに世界一可愛いよ?」
そう言いながらお互い自らの手元を見て笑い出す。
「…ねぇ、。すぐ返事しなくていいけど」
「うん?」
「一緒に住まない?」
「…龍くん…すごく嬉しいよ」
龍之介の提案に、は微笑む。
「でも、私まだ未成年だから、寮を出るってなると、社長と両親の許可が必要なの」
「…そっか。そうだよね」
「うん。ちゃんとお願いすれば許してもらえるかもしれないけど」
そう言って首を傾げるに、せめて高校卒業してからにしようか、と龍之介は微笑む。
「の事だから、俺と一緒に住んだら家の事全部やろうとしちゃいそうだし…学校と仕事と家事なんて三足の草鞋履かせられないしね」
「…龍くんの為なら何でもしちゃうかも」
「ほら。…大学は?」
「仕事がこのまま好調に進めるなら、すぐに進学する気は無いよ。仕事に専念する。大学は、行きたくなったら行く」
大学は何歳になっても入れる。
学びたい時が来たら自分のペースで学びたい。
それがの志望らしい。
「うん、そうだね。良い考えだと思う」
「ん。夢はいっぱいある。女優で食べていけるようになること。いずれは、歌も歌いたい。踊りたい。でも、好きな人と結婚したいし、子供も産みたい。孫も見たい」
「孫は気が早いけど…俺も愛した人と結婚して子供育てたい」
視線がぶつかり、言葉が交わる。
この瞬間、二人は半ば確信めいた感情を覚えた。