君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第33章 33
質疑応答という名の囲み取材に入り、は龍之介の隣に立ちにこやかに質問に答えていた。
「十さん、さん、ラビッターやラビチューブに、お二人のオールアップ時の動画が上がっているのはご存じですか?」
当たり障りない質問にある程度答えていれば、ゴシップ系の質問が投げかけられる。
「それは知りませんでしたけど、見学されていた方はたくさんいたので、動画や画像はあるんだろうなと思っています」
「宣伝で出演された番組で放送されなかった部分がアップされているのですが、ご存じですか?」
そう言って記者がタブレットで見せてきたのは、オールアップの日、二人が抱き合っている所。
放送では事務所からの指示で切られたであろう部分であった。
龍之介はやっぱり出たと思いつつ、どうこたえようか一瞬躊躇すれば、が隣でコロコロと笑う。
「ここの部分、後から絶対話題になるよね!って十さんともお話してたんです。でもさすがにテレビとかでは流せないから、こうやって誰か流したら楽しそうって言ってたんです。ね、十さん」
「そうそう、これ最後のシーンでNGが許されない一発撮りだったんです。だから、感極まっちゃってつい抱き合っちゃって」
「お二人に特別な感情が生まれたわけでは?」
「特別な感情、というと、皆さんは恋とか愛とかそういう答えを求められるかと思うんですけど、十さんとは兄妹というか、戦友というか…」
首を傾げるに、龍之介も頷く。
「もし俺がちゃんに恋愛感情持ってたら、こんな気安く頭撫でたりちゃんなんて呼ばないですよ」
「そうですね。TRIGGERはファンみんなの恋人…あ、そういう意味では私もTRIGGERのファンなので、TRIGGERの皆さんが恋人ですね」
「そうかも。どうする?付き合う?」
「いや、もう付き合ってるんですよ。私はファンの皆さんと一緒にTRIGGERの女ですから」
とっくに付き合っている二人は、それを逆手にとって堂々と公共の電波でいちゃつきながら自分たちの関係性を否定する。
「上手いわね…」
「ああ言われちゃうと書きにくいですもんね。面白おかしく書いても一過性のものになってしまう」
「ちゃんホントに17歳?」
「17歳…なんですけどねぇ…」
「女は怖いわね」