君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第31章 31
呼びだしベルの鳴った部屋の前に立っていたのは、事実上のマネージャーとなっている万理と、TRIGGERマネージャーの姉鷺。
万理はの控室となっている部屋にの姿がなかったためにここへ来たのだろう。
「龍くん、姉鷺さんと万理さん」
「あ、じゃあ俺が出るね」
ここは龍之介の控室に当てられている部屋の為、が出て万が一誰かに見られたら事だ。
それ故に、龍之介が駆け寄り扉を開く。
「お疲れ様です。姉鷺さん、大神さん」
「おはようございます、十くん。うちの来てます?」
「はい。どうぞ」
扉を大きく開き、二人が部屋に入ればが駆けてくる。
「部屋に居ないから心配したよ」
「すみません。久しぶりに会えたので…」
「ここに居るとは思ってたから」
万理の言葉に照れ臭そうに笑えば、は龍之介を見上げる。
「ん?」
「ん?」
「ちょっと…失礼」
呟き、龍之介の唇の端を拭ったの指先には赤いルージュ。
正しく、今が唇に塗っているリップである。
「ナイスちゃん!私ですら気付かなかったわ」
「ナイスですかこれ、出番前とはいえここでいちゃついたら危ないでしょ。姉鷺さん、結構に甘いですよね」
「私は実力のある子が好きなだけよ」
姉鷺の言葉に嬉しそうに微笑み、はお茶入れますねー、とカウンターへ向かう。
「、飲み物なら俺がいれるから。せっかくのドレス汚しちゃうよ」
「ありがとうございます、万理さん」
さっきは奇跡的にドレスを汚さずに済んだが、確かに汚したらスタイリストに迷惑をかけることになる。
万理の言葉に甘えれば促され、ソファに向かえばは腿に違和感を覚え、龍之介を見上げる。
「龍くん、お手洗い借りていい?」
「うん、もちろん。行っておいで」
頷く龍之介に礼を言い、は足早にトイレへ入る。
「早めにストッキング履くべきだなぁ、これ…」
余りにスース―している上に、先程の余韻が足を伝っていた。
苦笑しながら用事を済ませ、手を洗えば万理を見た。