君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第29章 29
「小鳥遊事務所唯一の女優なんでしょ?しかもこれから稼ぐ雰囲気満々の。お姫様として扱っていいくらいよ。例えばちゃんがうちに所属してても、安売りなんて絶対させない」
それだけの実力があるんだから、安請け合いしない方がいい。
そんなアドバイスを受け、万理はからタブレットを受け取り操作していく。
「十くんとIDOLiSH7の仕事は残すとして…他…」
「大神君が調整してる間に、続き話すわよ」
姉鷺の言葉に、は龍之介と共にそちらを向く。
「主に雑誌の撮影とCM。クリスマスとかバレンタインとか、カップル行事で駆り出されることが多いと思うわ。脱いだりとか過激なことは無いけど、セクシーさは求められる」
「私にセクシーな部分なんてあるんでしょうか」
「ある」
「断言すんな」
即答する龍之介に姉鷺が突っ込み、は苦笑する。
「兎に角、海外ブランドのアンバサダーなんてそう簡単に手に入れられるもんじゃんないんだから、しっかりやって頂戴」
「「はい」」
「出来た!どうかな?」
二人が頷いた直後に、万理は断るリストの色を変え、に見せる。
「多少余裕出来ましたね」
「これならいいんじゃない?」
「学校も行けるし、良かった」
「少しは会う余裕もできたね」
「ん、ご飯くらいは食べられそうだね」
微笑む龍之介とに万理はふむ、と頷く。
「二人とも、展開早すぎない?」
万理の言葉に、ビタッと動きを止めると龍之介。
「二人とも…鋭すぎません…か?」
「やっぱりもう寝てんじゃない」
「姉鷺さんも気付いてたんですか」
「明らかに一昨日と違うもの」
「俺はの首です」
その言葉に姉鷺はに近付き、顎を食い、と上げさせる。
一見ではすぐにわからないが、髪に隠れて紅い花が一つ。
「龍…あんった、大事な体に何してんのよ?!」
「すみませんっ!」
「ちゃんも!許すんじゃないわよ!」
「ご、ごめんなさいっ!!なんか…あの、頭ぐちゃぐちゃになるくらい気持ちよくてよくわかんなくなっ…」
「「「言わなくていいから!」」」
何となく感じ取ってはいたが、はどうやら天然な部分があるらしい。
より一層気を付けようと三人は目配せし合うのであった。