君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第26章 26
あの日は食事を取った後、やはりと言っていいくらいお互い求めすぎて明け方まで愛し合い、結局それからも二人で過ごして夕方に帰寮。
ドラマのオールアップ祝いとして豪勢な夕飯でIDOLiSH7のメンバーにもてなされ、は幸せな気持ちのまま眠りについた。
その翌朝が今である。
「緊張する緊張する緊張する……」
「?」
「ううぇい?!!や、大和さん…おはようございます」
「おはようさん。どうした?念仏唱えて…」
「今日からドラマの番宣で色んな番組にお邪魔するんですけど…。今日は生放送…生放送なんです!!!」
早朝五時に響くの叫び。
「なるほど、そりゃ緊張するわ」
「収録と違ってNGが一切出せない…!やばい…!!」
「お前さん、撮影ん時NG殆どなかったんじゃねぇの?」
「ちょっとは出しましたよ。でも今回は…ミスは、許されない……」
「もうちょい力抜けー?気負いすぎだろ。今回一人じゃないんだろ?」
確かに一人ではない。
というか、主役なしに出れるはずがない。
だが、その共演者も緊張に拍車をかける要因である。
「十さんも一緒ですけど…」
その龍之介とが、さらに緊張するのだ。
なんせ撮影中とは現在関係性が違うのだ。
ついうっかり恋人面などしてみろ。一気に大炎上だ。
「一緒だからこそさらに足を引っ張れないプレッシャーと言うか…」
「大丈夫だろ。十さんはライブ慣れてんだし。生も慣れてる慣れてる。ほれ、出発時間大丈夫か?」
「え?あ!行かなきゃ!行ってきます!!」
大和の言葉に腕時計を確認し、バタバタと出ていく。
行ってきまーーーす!と大きな声で出ていくのを耳で確認したその少しあと、三月が怪訝そうな顔で洗面所へと入ってきた。
「ミツ、どうした?」
「いや、さっき出てったろ?」
「さっきまで緊張するって念仏唱えてたぞ」
「まぁ、そりゃ緊張するだろうけど。で、出てったじゃん?」
「でっかい声でな」
「車、事務所のじゃなかったぞ」
「え?」
大和が見れば、三月は変だろ?と首を傾げる。
「仕事なのは万理さんも昨日言ってたし確かだろうけど…誰が迎えに来たんだろ…」
「…今日十さんと番組出るっつってたけど…」
「十さんがわざわざ迎えに来るかぁ?」
腕を組みながら呟く三月に、だよなぁ、と答えてはみる。