君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第3章 3
「緊張した…」
「なんか、凄かったよ」
「え?!何がですか…?」
「何だろう、何となく…凄かった」
「何だろう…でも、ありがとうございます」
そう言って微笑むに笑みを返し、龍之介はと共に再開された他の演者の自己紹介へと目を向けた。
「では、撮影はスタジオ等の関係で木曜日から!地方ロケも入っていたりしますので、よろしくお願いします。主役二人は、これから衣装チェック入って欲しいんだけど、いいかな?」
「はい!大丈夫です!」
「俺もこの後スケジュール無いので大丈夫です」
と共に龍之介も頷き、衣裳部屋へ向かおうとすれば、紡が申し訳なさそうにに声をかける。
「ちゃん、私これから四葉さんと逢坂さんを他の現場まで送らなければならなくて…」
「そっか、もうそんな時間…。大丈夫!電車で帰るよ!」
「電車…よかったら俺送ろうか?」
と龍之介の言葉に、紡はブンブンと首を振る。
「いえ!そんなご迷惑をおかけするわけにいきません!他のスタッフが迎えに来られるはずなので、ご安心ください!」
「そう?なら良いんだ。安心だね」
微笑む龍之介に礼を言い、は紡を手を振りながら送り出す。
「小鳥遊さんとは仲が良いんだ?」
「はい、紡ちゃんの方が一つ上なので、年の近いお姉ちゃんのような感じで、良くしてもらってます」
「龍、私も天と楽を迎えに行かないと」
どうやらTRIGGERの他のメンバーも別で仕事があったらしい。
時計を確認しながらそう言いだす姉鷺に、龍之介はわかりました、と頷く。
帰りは一人で帰ることになるようだ。
「車で来ておいて良かったですね、俺」
「そうね。私も一回会社戻って爆走よ。帰り気を付けてね」
「わかりました。姉鷺さんも気を付けて」
姉鷺もまた送り出し、ふと顔を見合せ笑い合う。
「お互い、置いてきぼりだね」
「ですね。でも、十さんとなら置いてきぼりにされても平気です」
「俺となら?」
「はい、十さんとなら……なんか、変なこと言ってますね、私!ごめんなさいっ!」
「え?!いや、嬉しい、よ?そう言ってもらえるの」
「…そう言っていただけて有難いです」