君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第226章 226
「よし、じゃあ…お疲れ様。また明日から仕事の合間に色紙書いてもらうけど…」
「手首のストレッチ入念にしておきます!」
結局スーパーでの買い物まで付き合ってもらい、はマンションのエントランスで万理と別れる。
そのまま走り去る万理の車を見送って龍之介の部屋へと向かった。
「空気の入れ替えしときますか」
音楽プレイヤーから音を流し、窓を開ける。
少しばかりひんやりと冷え始めた空気が心地よく流れ込んできた。
「さーて今日は…グリル焼きしちゃうぞー」
メニューが決まれば後は早い。
手際よく調理を終え時計を見れば、龍之介たちの帰宅まであと1時間を残して準備を終えることが出来た。
「お、着替えてメイク直して髪も巻けちゃう」
うきうきと洗面所へ向かい、メイクを直して髪をセットすれば満足げに鏡の中の自らを見る。
着替えも終えて何をしていようかと考えていれば、龍之介からラビチャが届いた。
[もうすぐ着くよ]
[やったー!良い子で待ってるっ]
返信をしてからコーヒーメーカーをセットし、そわそわとリビングと玄関を行ったり来たりしていれば、エントランスの鍵が開いた通知が届いた。
「外出て待ちたい…うぅ…あと3分くらいー」
もう待ちきれないと玄関で手ぐすね引いて待っていれば、ロックが解除されドアノブが動いたのを見ては扉に駆け寄る。
「ただいま!…わぁ!あはは!お待たせ!」
「おかえりなさーーいっ!龍くん!待ってたよぉー!!」
龍之介が扉を開けた瞬間、飛びつくように抱き着いてきた。
一瞬驚きの声を上げてしまったが、瞬時に満面の笑みで荷物をその場に落としを抱き締めた。
「龍くん…寂しかったよぉ」
「…うん、俺も。早く会いたかった」
「うん、龍くん」
「…」
「おい、龍、」
「いつまで僕たちここに突っ立ってればいいの?」
涙で潤むの瞳に吸い寄せられるように顔を近づけた瞬間、龍之介の後ろから楽と天が声をかける。
いつもの事である。いつもの事であるが、毎度家に入るまで何分も待たされるのはいただけない。
「あ!ごめん!」
「全く…、ただいま。これ土産な」
「おかえりなさい!ありがとー、楽っ」