君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第225章 225
はー、と息をつきながら顔を仰ぎだす万理に、は水を差し出す。
「はい、クールダウンしてくださいませ、万理さん」
「ありがとう。はー…もう、困った。いや、は可愛い」
「ありがとうございます」
「うちの看板女優なんだし、現に超人気女優だし、当然なんだけど。可愛すぎる…」
「万理さん、もっかいクールダウンしときましょう」
再度水を差し出すに頷き、一気に水を仰ぐ。
コン、とコップを置けば、どうすべきかと唸り出す。
「もう、こっぴどくフッて欲しい…」
「何ですかそのある意味ドМな発言は」
「本当にごめん。困らせてるね。…が嫌なら、マネージャーの変更も有りだよ」
「困る…そうですねぇ…。こんな言い方ズルいんですけど、私、マネージャーは万理さんじゃなきゃ嫌です」
呟くに、万理は彼女へと視線を向ける。
「…」
「例え紡ちゃんでも、他の人でも、嫌です。だから、フりません。全力で気付かないフリします。だから、万理さんも大人のズルさ全開で私の事好きでいてください」
相当なワガママだとわかっている。
それこそ、ずるい言い分なことも分かっている。
けれど、それでも、は万理にしか己のマネジメントを任せたくない。
それに、と付け加え、はにこりと微笑む。
「担当マネージャー夢中にさせられないで、人気なんて出せるわけありません」
そんな一言とその笑顔に、万理は思わず破顔して笑い出す。
「……全く、頭が上がらないよ、には。うん、わかった。俺はこれからもに夢中で恋する。全理性総動員して、を支え続けるよ」
「はい。だから、改めてこれからも、宜しくお願いします、万理さん」
しっかりと頷き、はそっと手を差し出す。
その手を取り、万理もまたしっかりとの手を握った。
「任せて。を世界までのし上げるから」
「世界中の人、魅了してみせます!」
硬く握られたその握手と共に二人は微笑み合う。
この日、と万理の信頼関係はさらに強固なものとなったのであった。