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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第218章 218




「はい!あ、モモさん、スクリーンとデッキお借り出来ますか?サプライズ映像がありまして」
「え!俺そういうの大好き!あるあるぅ!使って使って!」
「ありがとうございます!再生できるかちょっと試したいんですけど…まだ時間ありますか?」
「うん!大丈夫!」

百に案内された先には準備は終わっていないはずなのに悠々とカウンターチェアに腰掛けてグラスを傾けている千の姿。

「ユキ、お前モモくんにばっか働かせてないか?」
「まさか。僕は僕のやることがあるの。というか、モモが先に動いてくれるから」
「お前が動かないからなんじゃないの?」
「ちょこちょこ動くモモ、可愛いでしょ?それよりバン」
「なんだよ」

ちゃんとあの後どう?
そんな千の質問に、万理は肩を落として溜息をつく。

「どうともないよ。いつも通り」
「なんだ」
「あのなぁ、俺が十くんに勝てるわけないだろ」
「本気出してないからでしょ」
「………」

黙り込む万理に、ほらやっぱり、と千は不敵に笑う。

「ユキ、考えてみろよ。例えば俺が本気を出してを落としにかかったとする」
「うん」
「そしたら、あの笑顔をもう見られなくなる可能性があるんだぞ」
「…そうね。ちゃんの笑顔は龍之介くんが日々慈しんでる賜物と言える」
「の芸能人生も、俺のマネ人生も、下手したら十くんの人生も壊しかねない。さすがにそんな勇気は俺にはないよ」
「なるほど。今の立場のままちゃんを守りたいわけだ。マネの鏡だね、バン」
「お褒めにあずかり光栄」
「万理さーん!見てくださーい!みてみてー!」
「ん?お!すごいじゃないか!」

スクリーンに映し出されたのは、ファンや関係者からのメッセージ。
中には万理が撮影してきたライブ映像などもあった。

「頑張ったね」
「はい!みんな喜んでくれるかなぁ」
「もちろん喜んでくれるよ。お疲れ様」
「ありがとうございます!」

この笑顔を見るたびに思う。
手に入れたいと。
けれど、手に入れようとした瞬間にこの笑顔は失われてしまうのだろう。
だから今は、ただ傍で見守って行けたらそれでいい。
この笑顔を絶対に曇らせたりしないと、万理は決意を新たにするのであった。

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